ロウソクを食べられるように適応していた!
中央墓地で暮らすハムスターの生態に詳しいトーマス・フィレク(Thomas Filek)氏は「この墓地のハムスターたちはロウソクを食べて、そこに含まれる脂肪分を体内で消化できるのです」と説明。
「ハムスターたちがお墓からロウソクを盗もうとしたり、巣穴に押し込もうとする姿がたびたび目撃されていて、実際とても可愛いですよ」と話します。
ロウソクを入れている瓶に頭がはまって抜けなくなっているハムスターもよく見かけられるそうです。
彼らは墓地で食料を集め終わると、すぐに地下トンネルへと帰っていきます。
というのも、天敵である鳥たちが樹上からハムスターを狙っているからです。
そのため、ハムスターたちも地上では常に注意深く警戒の目を走らせているという。
また彼らは社会性を持たず単独行動する動物であり、基本的に仲間同士で協力することもありません。
性格はかなり気性が荒く、自分より遥かに大きな人間にも恐れずに噛みつくことがあります。
ウィーン中央墓地ではたくさんのハムスターが見られますが、世界的にはそうではありません。
クロハラハムスターは2020年の時点で、分布域全体で生息数が減少しており、すでに絶滅危惧種に指定されています。
個体数の減少の原因はよく分かっていませんが、専門家らは「道路建設による生息地の分断、農業による生息地の破壊や農薬汚染、害獣としての駆除、毛皮用の狩猟、光害などの複合的な要因が考えられる」と述べています。
国際自然保護連合(IUCN)によると、このまま保護対策を講じなければ、クロハラハムスターは今後30年で絶滅する可能性が高いという。
しかしそんなことはつゆ知らず、ウィーンの墓地ではたくさんのハムスターが繁栄しています。
墓地は人々の手によって荒らされることもありませんし、ロウソクや生花などの食料が簡単に手に入ることから、図らずも最良の楽園となっているのかもしれません。