新種と判明!だけど絶滅してるっぽい
ニャンガ地区のリンカルス標本を遺伝子分析した結果、チームの予想通り、南アフリカ地域の個体群とは遺伝的に異なった新種であることが判明しました。
遺伝子データを調べてみると、ニャンガ地区のリンカルスは約700万〜1400万年前に南アフリカの集団から分岐したと推定されています。
それ以来、現代に至るまでジンバブエで孤立した状態で生きてきたようです。
以上の結果からチームは、ニャンガ地区のリンカルスを改めて「ヘマチャトゥス・ニャンゲンシス(Hemachatus nyangensis)」として新種記載しました。
この学名はラテン語で「ニャンガ・リンカルス」という意味です。
新種の標本には、近縁のコブラと同じく毒を吐き出すための牙がありましたが、生きていたときの使用例が確認されていないため、牙をどう使い、どれほど有毒であったかは分かっていません。
ただ一般的な毒ヘビは毒液の噴出孔が牙の先端にあり、注射針のように使うのに対して、南アフリカのリンカルス集団は毒液の噴出口が前方を向いており、対峙した相手に毒液を吹きかけられる仕組みになっています。
もしかしたらニャンガ・リンカルスも同じ使い方をしていたのかもしれません。
新種の発見に喜びの声を挙げたいところですが、先ほど言ったように、生きたニャンガ・リンカルスは1988年以来、一度も見つかっていません。
生息地の変化も相まって、研究者らは「すでに絶滅している可能性が高い」と考えています。
一方でチームは、ニャンガ・リンカルスが今もどこかで生きていることを諦めてはいません。
もし生きた個体が見つかれば、南アフリカの集団と分岐したより正確な時期とともに、保護活動に役立つ情報が得られるでしょう。
果たして、新種ニャンガ・リンカルスはまだ地球上に存在しているのでしょうか?