量子エンジンは燃料を必要としない
自動車やバイクなどに使われる普通のエンジンでは、燃料を酸素と混ぜて点火し、爆発によって生じた高圧によってピストンを押し上げます。
爆発が終わればピストン内部の圧力は元の低圧状態に戻りますが、直ぐに再び燃料と酸素が注入され、爆発が繰り返されます。
現在、世界には多種多様な内燃機関が存在しますが、その全ては圧力の差を使って動力が供給されています。
逆を言えば「低圧と高圧のサイクルを繰り返す仕組み」さえあれば、どんなものもエンジンになれる可能性があります。
そこで今回、沖縄科学技術大学院大学の研究者たちは、量子エンジンと呼ばれる全く新しいタイプの仕組みを開発し、試運転を試みることにしました。
新たな量子エンジンも一般のエンジンと同じく「低圧と高圧のサイクルを繰り返す仕組み」を備えています。
しかし、圧力の生成には燃料も酸素も必要とせず、代わりにピストン内部の「量子の状態」を変化させることで、低圧と高圧のサイクルを実現しています。
「量子の状態」というと難解なイメージを持つかもしれませんが、この記事ではわかりやすく解説します。