文鳥は「繁殖準備OK」のサインをどう出すのか?
夏目漱石の小説にも登場する文鳥(ブンチョウ)は、私たち日本人にとって馴染み深い鳥です。
主に東南アジアの熱帯地方を原産とする文鳥は、江戸時代の初期に日本へと輸入され、飼育種として高い人気を得るようになりました。
訓練すれば手にも乗る人懐っこさ(手乗り文鳥)に加え、オスとメスのつがいが長期にわたって添い遂げるという美しい習性も、日本人の感性に触れるところがあったのかもしれません。
その一方で、文鳥はヒナから成鳥に至るまで、オスとメスで見た目に大きな違いがありません。
鳥類は一般に、オスとメスで姿が異なる「性的二形」の種が多く見られるグループであり、オスはその外見を利用してメスに求愛します。
代表的なのはクジャクで、オスが色鮮やかで派手な羽毛をもつのに対し、メスにはそれがなく、かなり地味です。
しかしこの見た目の性差のおかげで、メスは求愛してくるオスを識別し、最良のパートナーを吟味することができます。
では、そうした見た目の性差がない文鳥は、繁殖の準備ができたことを互いにどうやって伝え合っているのでしょうか?
これは鳥類学者にとって長年の疑問でしたが、新しい研究によると、実はそれが目ヂカラにあるというのです。