地球に降り注ぐ「強力な宇宙線」を観測する
「宇宙線」は、宇宙空間を飛び交う粒子であり、陽子や原子核などが含まれます。
これらの粒子は高いエネルギーで飛び交っているため「放射線」とも呼ばれます。
そして宇宙線の中でも、特に高いエネルギーを持つものは、一般的な宇宙線とは異なり、宇宙磁場で曲がりにくくなります。
これはつまり、「強力な宇宙線の到来方向が、その発生源を指し示す」ということです。
この性質により、地球に降り注ぐ高エネルギーの宇宙線を分析することは、「次世代天文学」の観測方法となりえるのです。
これまでの観測では、100メガ電子ボルト(108電子ボルト)から100エクサ電子ボルト(1020電子ボルト)を超える宇宙線が検出されてきました。
(100エクサ電子ボルトのエネルギーは、地上最大の粒子加速器の到達エネルギーよりも7桁大きく、宇宙最大のエネルギーを持つ粒子だと言えます)
これら莫大なエネルギーの発生源は、宇宙最大の爆発現象である「ガンマ線バースト」や超巨大ブラックホールから吹き出すジェットなどと予想されていますが、現在のところ正確な原因は特定されていません。
それでも、これら強力な宇宙線の観測を続けていくなら、いずれ宇宙の神秘を紐解くことができるかもしれません。
そしてこの度の大きな発見は、天文学者たちに大きな衝撃を与えるものとなりました。
なんと、244エクサ電子ボルト(2.4×1020電子ボルト)の宇宙線が観測されたのです。