史上最強のガンマ線バーストを観測!
ガンマ線バーストは2022年10月9日、アメリカ航空宇宙局(NASA)の「フェルミガンマ線宇宙望遠鏡」や欧州宇宙機関(ESA)のガンマ線観測人工衛星「インテグラル(INTEGRAL)」などにより検出されました。
この信号はガンマ線バースト「GRB 221009A」と命名され、地球から「や座」の方角に約24億光年離れた場所で起きた超新星爆発(※)が原因と判明しています。
(※ 大質量の恒星が一生を終える際に起こす大規模な宇宙爆発によって輝く天体のこと)
ガンマ線バーストとは、宇宙の中で最も光度の強い天体現象の一つであり、超新星や極超新星(超新星の10倍以上の爆発エネルギーを持つもの)などの非常に強いエネルギーを持つイベントによって発生すると考えられています。
さらにGRB 221009Aは、それ以前に観測された最も明るいガンマ線バーストより約70倍も明るいことが分かりました。
研究者らは、これほどの規模のガンマ線バーストが起こる頻度は1000年から1万年に一度程度だろうと考えています。
IAPSの天体物理学者で研究主任のピエトロ・ウベルティーニ(Pietro Ubertini)氏は「ガンマ線バーストの観測は1960年代から始まっていますが、GRB 221009Aは間違いなく、これまでに観測された中で最も強いものです」と話しました。
一方で、GRB 221009Aが地球の「電離層」に与えた影響は調べられていませんでした。
電離層とは、地球の高度約60〜500kmの間に広がっており、下から順にD層(60〜90km)、E層(100〜120km)、F1層(150〜220km)、F2層(220km〜)に分けられます。
これらは主に宇宙から降り注ぐ強烈な電波やプラズマ、太陽風から地球を守るシールドの役割を果たしています。
また電波を反射することで、アマチュア無線や短波放送、ナビゲーションにも利用されています。
もし電離層に穴が開いたりすれば、地上に危険な宇宙線が到達し、生命に危険を及ぼしかねません。
そこでウベルティーニ氏らは衛星データなどを用いて、GRB 221009Aが電離層にどんな影響を与えたかを調べました。