電離層全体が撹乱されていた⁈
衛星データを調べた結果、GRB 221009Aは電離層全体の電場を大きく撹乱していた証拠が見つかりました。
ガンマ線バースト自体が衝突していた時間は約13分に過ぎませんでしたが、電離層への影響は約10時間も持続していたのです。
加えて、その影響は電離層の下層部(60〜100km)だけでなく、約507kmの高層部でも電場の強い変動を引き起こしていました。
ウベルティーニ氏によると、こうした電離層の撹乱が起きるのは普通、地球から約1億5000万kmにある太陽フレアの影響がほとんどだという。
24億光年も離れた超新星爆発からのガンマ線バーストが、電離層の全域にわたって強い影響を及ぼした例は過去に存在しません。
それでも幸いなことに、ガンマ線バーストが電離層に穴を空けて、地上にダメージをもたらすことはありませんでした。
これはガンマ線バーストの発生地点が地球から非常に遠方であったためです。
そのためウベルティーニ氏いわく、GRB 221009Aと同じ規模のガンマ線バーストがもっと近くで起こっていたら、タダでは済まなかったという。
最悪の場合、地球に衝突したガンマ線バーストは電離層だけでなく、その下の成層圏にあるオゾン層(上空約10〜50km)までを破壊し、太陽からの危険な紫外線がダイレクトに地上に到達してしまうと推定されています。
またこれと同じプロセスは、実際に過去の地球で起こったいくつかの大量絶滅を説明できる可能性があるとも指摘されました。
ただこの仮説を確認するには、考古学調査を含めた更なる研究が必要となるでしょう。
今のところ、地球の近傍において、私たちの生命を脅かすほどの超新星爆発の存在は確認されていないといいます。
こちらはESAが作成した「超新星爆発でガンマ線バーストを放出した後にブラックホールが誕生する」ところを再現した映像です。