神秘的な見た目と性質を持つ「ブルードラゴン」 毒には注意が必要
世界には、私たちの目を引く、神秘的な生物がいくつも存在しています。
例えば、「カツオノエボシ(学名:Physalia physalis)」という青透明色の美しいクラゲの一種は、日本の太平洋湾岸でも見かけることがあります。
その見た目から思わず触ってしまいそうになりますが、実は猛毒を持っています。
過去には、誤って接触した人が死亡した事例もあるようです。
同様に、ウミウシの一種である「アオミノウミウシ(学名:Glaucus atlanticus)」も、神秘的な見た目でありながら、毒を持つ危険な存在です。
このアオミノウミウシは、体長2~5cmほどの青色の体を持っており、空想上の生物「ドラゴン」の翼を連想させる「ヒレ」が付いています。
また胴体の後部には、爬虫類のような尾が伸びており、私たちがよく知っているウミウシの外見とは大きく異なっています。
こうした見た目と、海を遊泳するように移動する姿から、「ブルードラゴン」「ブルーエンジェル」などと呼ばれているようです。
このアオミノウミウシはハワイ原産であり、太平洋やインド洋などの海岸から離れた海に生息しています。
日本では、南西諸島や小笠原諸島の沖で確認されています。
それでも稀に、アオミノウミウシが潮の流れに乗って海岸までやってくることがあるそうです。
実際、神奈川県鎌倉市の由比ヶ浜や、静岡県御前崎市の白羽海岸にて、アオミノウミウシが発見されたこともありました。
また日本以外では、2024年2月に、アメリカ・テキサス州の海岸沿いにあるノース・パドリー島で発見されました。
地元の研究機関「Harte Research Institute for Gulf of Mexico Studies」は、SNSにその写真を投稿しつつ、「ブルードラゴンには触れないでください!」と警告しています。
そして、この発見に携わった海洋生物学者であり海洋保護活動家でもあるジェイス・タネル氏も、アオミノウミウシに触ることの危険性を次のように話しています。
「ブルードラゴンに刺されると、約1時間は激しい痛みが続くでしょう。
吐き気がしたり、針で皮膚をこすっているような感覚に襲われたりするかもしれません」
ちなみに、アオミノウミウシは肉食であり、このような毒を捕食対象から入手しています。
これは「盗刺胞」と呼ばれています。
アオミノウミウシは、冒頭で紹介した、猛毒の刺胞(細胞に備わる毒針)を持つクラゲ「カツオノエボシ」などを好んで食べます。
その際、刺胞を取り込んで自らのヒレへと移動させ、自分の武器として利用してしまうのです。
こうした「捕食した相手の武器を取り込む」という性質も、アオミノウミウシの特異性を際立たせていますね。
「青い竜」と呼ばれるアオミノウミウシは、その見た目と性質の両方が、まるで「空想上の生物」なのです。
もちろん、神秘的だからといって、危険な生物には変わりないので、もし海岸で見かけたとしても、決して触らないようにすべきです。