カツオノエボシってどんな生き物?
カツオノエボシは刺胞動物(しほうどうぶつ)、ヒドロ虫網、クラゲ目に属しています。
ヒドロ虫網に属さないクラゲもいますから「クラゲであって、クラゲでない」と言える存在です。
刺胞動物は、触手に毒針があり、相手を刺すことができます。
ヒドロ虫は、刺胞動物の中でも作りが単純で、身体はほぼ水(ギリシャ語でヒドロ)で構成されていますが、複数匹が集まって1つの個体を形成する事がよくあります。
しかし、カツオノエボシのクラゲらしくない形、いかにも毒々しい見た目、色。
海岸に打ち上げられていると、キレイな風船に見えること。
刺された動物が、毒で苦しむ事例があったとのこと。
などから「ヘンテコ危険生物」として取り上げられることが多くなっています。
こんなに変な生態を多く持つカツオノエボシですが、実はクラゲらしく単純な点もたくさんあるんです。
カツオノエボシの生態
カツオノエボシは、他のクラゲ類と同じように、自分自身で泳ぐ能力はほぼなく、風や波の流れに頼って移動します。
水族館で「クラゲ類は自由気ままそうで、良いな」と感じるのも、この“ただ身を任せて漂っている優雅な風貌”から来るものでしょう。
ちなみに「水の中を漂っているもの」がプランクトンの定義だと、知っていましたか?
つまり、大きい身体のクラゲであっても、プランクトンの仲間です。
ほとんどのプランクトンは小さい微生物であるものの、「大きい身体の生物をプランクトンと呼んでも間違いではない!」ということを豆知識として覚えておくと面白いですね。
またカツオノエボシは、獲物を自分で捕獲し食べる能力はあります。
刺激を受けると毒針を発射し、小魚や甲殻類を触手で捕獲し、取り込むようにして食べるのです。
さらにカツオノエボシ一匹は、厳密には一匹ではありません!
カツオノエボシは「ヒドロ虫」がたくさん集まって1個体として構成されており、こういった状態を生物学的にはヒドロ虫の「群体」であると表現します。
ヒドロ虫は、平均10cm程の胴や浮袋になる群体、平均10cm程の触手になる群体、栄養を取り込む群体、生殖器になる群体など様々な役割に分かれています。
役割が触手になったヒドロ虫だけ、なんだか忙しそうな気がしますね…。
カツオノエボシの特徴
プカプカ漂い、たまに相手を刺すだけのカツオノエボシですが、注目されることが多いのは、その見た目のインパクトからでしょう。
最大の特徴である「浮袋」の中身は、ほぼ二酸化炭素で、この浮き袋に頼って浮遊しています。
他のクラゲは丸いのに対し、三角形をしている点は個性的ですよね。
・この三角形が、和装の「烏帽子」に似ていること
・魚の「カツオ」と同時期に到来すること
以上のことからカツオノエボシと命名されました。そのまんまなネーミングなんです。
そんな優雅な見た目をしていますが、安易に触れると危険な目に合うことがあります。次は、その危険性に関して解説していきます。