梅干しで避妊、飛び降りて中絶
江戸時代はまだ医療が未熟だったこともあり、効果的な避妊法がありませんでした。
しかしそれでも、様々な避妊方法が行われていたのです。
具体的には朔日丸(さくじつがん:月の第一日に服用すれば妊娠しないとされた丸薬)や天女丸(効能書きによると生理不順にも効くうえ,服用をやめればすぐに妊娠するという)といった飲み薬が用いられ、漢方やハーブなどが材料とされていました。
しかしこれらの薬は科学的根拠に乏しく、効果がないどころか水銀などが含まれていることもあり、健康に悪影響を及ぼすこともあったようです。
他にも鍼灸や膣洗浄、はたまた茎袋(現代のコンドームに相当)の使用が行われ、膣挿入薬として梅干や酢、ミョウバンが使われましたが、当然ながらこれらに効果はありませんでした。
そのためこの時代の避妊法は機能していたとは言い難く、結局中絶をすることが多かったのです。
中絶は江戸時代においもて一般的であり、堕胎医と呼ばれる専門の女医が存在したほどです。
彼女らは水銀と米粉を混ぜ合わせた中条丸と言われる薬や鬼灯の毒を使って中絶を行っていましたが、高額で一般庶民には手が届きませんでした。
そのようなこともあって庶民は、寒い冬に冷たい水に浸かって流産を試みる、腹部を圧迫する、高いところから飛び降りるといった力業で中絶を試みていたのです。