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飲酒で胃は殺菌できるのか? (2/3)

2024.01.01 Monday

前ページ酸とアルコールは単独でも殺菌力がある

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酸とアルコールは混ぜると殺菌力が増す

この研究は、酸に耐性がある土壌微生物や大腸O157などの病原性細菌に対して、酸と低濃度エタノールを混合した液体の殺菌効果を調べたものです。

研究者らは実験で、これらの細菌等を、異なるpH溶液やエタノールの濃度で処理し、その生存率を評価しました。

たとえば下の図は、肺炎桿菌(はいえんかんきん)を異なる環境におき、菌の増殖を観察したものです。

胃酸条件下におけるエタノールとビールは菌を死滅させた。
胃酸条件下におけるエタノールとビールは菌を死滅させた。 / Matsuoka, T., et al. (2023)

肺炎桿菌は口腔や腸における常在菌でとても身近な菌ですが、感染症の原因菌でもあるのです。

できるだけ身体に留まって欲しくないこの菌は、酸性エタノールや酸性度を上げたビール(上の図の黄色い枠内)におくと、ほとんどが死滅してしまいました。

「酸性度を挙げたビール」以外の環境では、たとえば「酸だけのとき」や、「低濃度エタノール単独」では、殺菌効果がほとんどみられませんでした。

これは、ビールやワインなどの低濃度アルコール飲料でも、酸と混合することにより、殺菌効果が期待できることを示唆しています。

じゃあそもそも酸性度の高いお酒を選べば良いのでは…? そう考えたあなたは、正しいのかもしれません。

研究者らによれば、酸性度が高い酒類なら、単独でも殺菌効果が期待できるのだそうです。

「酸性の酒」といえば、ワインです。

「ワインには殺菌効果がある」ということは、実は昔からよく言われており、近年は実験により証明されています。

たとえば、2008年に発表された研究では、食中毒の原因菌であるカンピロバクターは、アルコール度数12.5%でpH 3.6の赤ワインに入れると、99.9%以上死滅することが確認されています

この効果は、2倍に希釈したワインでも大きくは変わりませんでした。

赤ワインのアルコール度数は10〜13%程度で、複数の有機酸が含まれpHは3〜4ほどです。有機酸とエタノールが組み合わさワインは、それ自体が殺菌効果をもっているようです。

次ページ大腸菌O157には「酒で消毒」は通用しない

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