衝突前に小惑星を発見!
小惑星を最初に発見したのは、ハンガリーにあるコンコリー天文台・ピスケーシュテテー観測所の天文学者であるクリスチアン・サルネツキー(Krisztián Sárneczky)氏です。
サルネツキー氏は1月20日の現地時間22時48分頃に、観測所の天体望遠鏡を使って、地球に飛来する直前の小惑星を発見しました。
同氏は暫定的に「Sar 2736」と命名しましたが、後に小惑星センター(MPC)によって「2024 BX1」の符号が与えられています。
こちらがサルネツキー氏の観測した2024 BX1の映像です。
The discovery images of the imminent impactor #2024BX1 (aka #Sar2736 ) with the 60-cm Schmidt Telescope at #Piszkéstető Mountain Station, part of Konkoly Observatory (#konkolyobs) in #Hungary. pic.twitter.com/qMcXerhvL4
— Krisztián Sárneczky (@sarneczky) January 21, 2024
サルネツキー氏の観測から約2時間後、欧州宇宙機関(ESA)が運用する小惑星監視システム・Meerkatでも2024 BX1の存在が確認され、地球の大気圏に衝突することが断定的となります。
そして日を跨いだ翌21日の現地時間1時30分頃、2024 BX1は事前の予報通りの時間にドイツ・ベルリン西部にあるブランデンブルグ州のネンハウゼン上空へと落下しました。
2024 BX1は大気圏衝突により明るい光を放つ火球となり、夜空を流星のように横切る姿がドイツ西部を中心に各地で目撃されています。
またドイツの他にフランスやチェコでも火球が見られたという。
こちらがその貴重な瞬間を捉えた映像です。
Thanks to my wonderful colleague @allplanets I knew where and when to look for a #meteor coming down over #Berlin tonight. Here’s the video! pic.twitter.com/kBhGz6Ahir
— Michael Aye (@[email protected]) 🇩🇪🇺🇦 (@michaelaye) January 21, 2024
カナダ・ウェスタンオンタリオ大学(UWO)の天体物理学者デニス・ヴィダ(Denis Vida)氏によると、衝突前の2024 BX1の直径はわずか1メートル程と推定されており、地球には何らの被害ももたらさなかったと考えられるという。
一方、大気圏衝突によって2024 BX1は崩壊したと見られ、「おそらくいくつかの隕石が地上に落下したでしょう」と指摘しました。
欧州宇宙機関は近いうちにも落下した隕石の捜索と回収を行う計画を立てています。
こちらは平塚市博物館の天文担当学芸員である藤井大地氏がX(旧Twitter)に投稿した2024 BX1の軌道です。
白線が2024 BX1で、青線が地球の公転軌道を表しています。
さきほど日本時間2024年1月21日午前9時32分頃、ドイツのベルリン付近上空に、直径1mの小惑星2024 BX1が落下したそうです!約1時間前に衝突予測が出され、予測通り大火球が見られました。これは小惑星2024 BX1の軌道です(JPL Small-Body Databaseより)。衝突前に発見された小惑星としては8番目です。 https://t.co/8BsdVB6pB3 pic.twitter.com/5szBMrvyyM
— 藤井大地 (@dfuji1) January 21, 2024
直径1メートルの小惑星が地球に飛来するのは何も珍しいことではありませんが、それが衝突直前に発見されるのは非常にレアなケースです。
欧州宇宙機関によると、直径30メートル未満の地球近傍小惑星(Near Earth Object:NEO)の99%はいまだ発見されていないという。
特にサイズが小さければ小さいほど、小惑星を事前に発見し、衝突を予報することが困難になります。
こうした観測の精度を高めることは、隕石落下による地上の被害を最小限に抑える上でも重要となるでしょう。