ありし日の姿を立体的に復元!
復元の結果、樹木の高さは約2.7メートルで幹の直径は約16センチと小さなサイズでしたが、樹冠にあたる約75センチの幹の間に250枚以上もの葉っぱが密集して生えていたのです。
枝は存在図、細い幹から葉っぱが直接生え出していました。
葉っぱの長さは部分的に保存された化石断片だけでも1.75メートルあり、本来なら3メートル近く伸びていたのではないかとチームは推測しています。
各々の葉っぱは螺旋状に配列されており、近くの葉っぱとできるだけ重なり合わないようになっていました。
ガスタルド氏はこれについて「光合成で取り込める日光の量を最大化するためのレイアウトだろう」と述べています。
また背が低いことから、サンフォルディアカウリスは近くに生えている背の高い樹木の真下に自生していたことを示唆します。
こうした日光を受けにくい悪条件を踏まえた上でも、葉っぱを螺旋状にディスプレイする必要があったのかもしれません。
サンフォルディアカウリスは一見すると、熱帯地方に見られるシダやヤシの木に似ていますが、葉の数で明確に違っていました。
シダやヤシの木はだいたい15〜20枚程度の葉っぱしかつけないので、サンフォルディアカウリスの異常さが伺えます。
植物の進化実験の失敗例?
これまでの研究で、植物は約4億7000万年前に陸上に進出し、約4億1900万〜3億5900万年前のデボン紀に種や形状の多様化が始まったことが分かっています。
サンフォルディアカウリスはおそらく、約3億5900万〜2億9900万年前の石炭紀に実験的に出現した種であり、生存競争に適応できなかったせいで淘汰された可能性が高いとのことです。
やはり背が低い上に限度を越した葉っぱの多さが、種の繁栄にブレーキをかけたのでしょう。
それでもガスタルド氏は、このユニークな植物について「地球の歴史の中に、私たちが見たこともないような姿をした木がまだまだ存在していることを思い出させてくれるもの」と述べています。
生命の歴史は”実験”の繰り返しであり、突飛な姿をした動植物は過去にたくさん存在しました。
しかし、その突飛さは弱肉強食の世界を生き抜く上では不利に働くことがほとんどで、複雑すぎる生命はその度に地球上から姿を消していったのです。
ただ、彼らが存在した証は化石として確かに残っており、今日の私たちにそのユニークな姿を見せてくれています。