「コーヒーは大腸がんの発症リスクを低下させる」かもしれない
これまでに行われたいくつかの研究により、コーヒーの摂取と大腸がん(CRC)の発症リスクの低下には、何らかの関係があると考えられています。
例えばある研究では、「毎日1杯以上のコーヒーを飲む人は、コーヒーを飲まない人に比べて大腸がんのリスクが11~17%低下する可能性がある」と報告されています。
また別の研究では、ステージ3の大腸がん患者が、1日当たり4杯以上のコーヒーを飲むと、コーヒーを飲まない人に比べて生存率が向上すると報告されました。
このような研究がいくつか存在する一方で、それらをまとめたあるメタ分析では、「関連性が見つからない」という結果が出ており、必ずしも結果が一致しているわけではないようです。
大腸がんの発症やその症状には、コーヒー飲用量以外の要素が大きく関わってくるため、コーヒーだけの効果を抽出するのが難しいのでしょう。
「なぜコーヒーの摂取が大腸がんの発症リスクを低減するのか」という疑問について専門家たちは、コーヒーに含まれる抗酸化作用が関係している可能性を考えています。
コーヒーは酸化ストレスを軽減する調節因子(Nrf2) を活性化する作用があり、これががんの特徴を予防する効果があるというのです。
また腸内細菌叢を変化させ、がんの増殖を防ぐ可能性があるという説も提案されています。
さらに、コーヒーには肝臓機能を改善する効果があることが示されています。
肝臓は大腸がんから転移しやすい部位の1つであるため、専門家たちは、大腸と肝臓の関連性にも注目しているようです。
こうした背景から、現状では、コーヒーには大腸がんの発症リスクを低下させる可能性があるが、その効果やメカニズムには不明な点も多く、さらに多くの研究が必要だと言えます。
そこで今回、オイエレレ氏ら研究チームが着目したのは、コーヒーの摂取が大腸がんの再発リスクにどのような影響を与えるのか、という点でした。