人食いバクテリアとは?
劇症型溶血性レンサ球菌感染症(Streptococcal Toxic Shock Syndrome, STSS)とは、突発的に発症する致死率の高い病気であり、「人食いバクテリア」と呼ばれることもあります。
Streptococcal toxic shock syndrome (STSS) can kill within just 48 hours of #infection. Here’s what you need to know about the rare but deadly #bacterial illnesshttps://t.co/FgS3x8WxNm
— Hindustan Times (@htTweets) June 20, 2024
このSTSSは、最初、腕や足の痛み・腫れ、発熱、血圧の低下から始まることが多く、その後、悪化していきます。
高熱になり、重度の筋肉痛、吐き気や嘔吐、さらには組織の壊死、呼吸状態の悪化、肝不全・臓器不全などの多臓器不全をきたすようになるのです。
死亡率は非常に高く、STSSを発症した患者の30%が死に至るとされます。
その原因の一つがこの病気は進行が非常に早い点にあります。感染後48時間以内に死亡するケースが多く、医師が病気を特定しても治療が間に合わないのです。
人食いという呼称をされる理由は、感染が急速に進行する過程で、まるでバクテリア(細菌)が人体を食い荒らすように感染部位の皮膚や筋肉が壊死していくためです。
では、STSSの原因はいったい何でしょうか?
STSSは、主にA群溶血性レンサ球菌(Group A Streptococcus, GAS)によって引き起こされます。
この細菌は通常、喉や皮膚に存在し、一般的には咽頭炎や皮膚感染症を引き起こしますが、症状は軽く無症状な場合もほとんどです。ところがごく稀に症状が重篤化し、これをSTSSと呼びます。
つまり、この細菌自体が致命的なレベルで危険なわけではなく、稀に起きる重篤化(劇症型)の症状が危険なのです。
ただなぜ稀に重篤化するのかというメカニズムは完全に解明されておらず、特に基礎疾患のない人でも発症が報告されています。
STSSは、1987年にアメリカで最初に報告されており、次第にヨーロッパやアジアでも報告が上がり、日本では1992年に最初の症例が報告されました。
そして現在、そのSTSSが世界的に増加傾向にあり、日本でも感染者数が急増しているのです。