核戦争の本当の脅威は「爆発の後」にある
核戦争と聞くと、多くの人は巨大な爆発や放射線被害を思い浮かべるでしょう。
しかし近年の研究が繰り返し示しているのは、本当に恐ろしいのはその後に訪れる「核の冬」だという点です。
核兵器が都市に落とされると、大規模な火災が発生します。
その火災で生じた大量のすすが成層圏まで上がると、太陽光が弱まり、地球全体が急激に冷え込むかもしれないのです。
2025年の研究では、全面核戦争の後には、一部の中緯度地域で何年にもわたって氷点下の状態が続く可能性があると指摘されています。
こうなると農業は深刻な打撃を受けます。
しかも人類が普段持っている食料備蓄は数か月分ほどしかなく、農業の混乱が長引けば、問題はすぐに世界規模の飢餓へと広がります。
重要なのは、この被害が戦場の中だけで終わらないことです。
同研究では、核攻撃を受けた国そのものよりも、むしろ遠く離れた国々で、飢えによってさらに多くの人が命を落とす可能性が示されています。
また2022年に『Nature Food』に掲載された研究も、こうした見方を強く裏づけています。
この研究では、核戦争によって成層圏に入るすすが5テラグラム(Tg)を超えると、ほぼ世界中で深刻な食料不足が起きると推定されました。
しかも不足するのは穀物だけではありません。
家畜は飼料に依存しており、漁業もまた気候変化の影響を受けるため、畜産や水産物だけで穴埋めするのは難しいとされています。
実際、この研究では、インドとパキスタンの核戦争でも20億人超、米国とロシアの全面戦争では50億人超が飢餓で死亡する可能性があると試算されました。
海も安全地帯ではありません。
2022年の海洋研究では、核戦争後の海はただ少し冷えるだけではなく、海氷の拡大や海洋循環の変化によって、植物プランクトンの生産量や種類の構成そのものが大きく変わると示されました。
つまり海は単純に「不漁になる」のではなく、海の生態系そのものが別の状態へ移ってしまうおそれがあるのです。
要するに核戦争とは、爆発による破壊だけではありません。
太陽光を弱め、陸と海の食料生産を同時に傷つけ、地球全体の食料システムを深刻に壊してしまう出来事なのです。
では、こうした核戦争が生じても生き残る可能性があるのはどんな国でしょうか。




























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