有酸素運動で使われた筋肉は維持される
合計175人の男女が週4~5回(1回30分程度)の頻度で3~6カ月間にわたり、ウォーキングやランニングに励んだ結果、全身の筋肉量が平均0.5kg減っていました。
ただし、減った部位に特徴があり、ウォーキングやジョギングであまり使われない上半身の筋肉量が減った(12.7kg→12.2kg)のに対し、使われた脚の筋肉量は全く減りませんでした(13.5kg→13.5kg)。
この結果は、有酸素運動で直接使われた筋肉は維持できることを意味しており、有酸素運動をすると筋肉が分解されてしまうため、筋肉が減るという俗説を一部否定しています。
研究グループは、有酸素運動で直接使われた部位の筋肉量が維持される理由について、有酸素運動が筋肉の毛細血管化を促進したことで、インスリンやアミノ酸が筋肉に行き届きやすくなり、筋タンパク質分解が抑制されたためだろうと述べています。
また、この研究では、全身の体脂肪量の測定結果も報告されており、その数値を見ると、平均4kgも減少していました。
この数値は、全身の筋肉量の減少(0.5kg)に比べると大きなもので、引き締まった健康的な体型に近づいたと見ることができます。
ただ、今回の研究は肥満者を対象にしています。
有酸素運動で懸念されているのは、体がエネルギー不足になったとき脂肪の代わりに筋肉が分解されエネルギー源に当てられてしまうという点です。
そのため、肥満者は分解する脂肪が多いので問題ないかもしれませんが、脂肪をしっかり落とした人の場合は、有酸素運動で筋肉が分解される恐れが高まったりはしないのでしょうか?
筋トレ愛好家の場合、有酸素運動をして筋肉が落ちる心配はないのでしょうか?