ADHD治療に「ノイズ」が有効?
ADHDとは生まれ持った特性であるため、個性と見そうという意見もありますが、治療によって症状の一部を緩和させることが可能です。
こうした治療法は主に「薬物治療」と「行動療法・環境調整・心理療法」を組み合わせて行うのが一般的です。
ただ、薬物療法にはある程度副作用がありますし、通院にかかるコストや労力など、いくつか懸念される点もあります。
これを踏まえて、研究者たちは副作用の心配がなく、コストや労力のかからない、もっと簡単に実施できる別の治療方法がないかどうかを模索してきました。
その中で近年、専門家たちの間で関心が高まっているのがノイズ音です。
特定の種類のノイズ音が含む周波数には、脳の神経活動を調整し、情報処理を最適化する効果があると考えられています。
そのためノイズをADHDの改善に役立てようという考えはまったく新しいわけではありません。
特に以前から注目されていたのは「ホワイトノイズ」と「ピンクノイズ」です。
ホワイトノイズとは、すべての音の周波数で同じ強度となるノイズのことで、例えるなら雨が振っているような「シャー」という音に聞こえます。
ホワイトノイズには背景の雑音を効果的にマスキング(覆い隠す)する働きがあり、睡眠を助けたり、集中力を高めるために使用されることがあります。
ADHD治療においては、この働きが患者の注意散漫を減少できるのではないかと考えられています。
こちらがホワイトノイズのサンプル音です。
(※ 音量にご注意ください)
それからピンクノイズとは、低周波数が強調されたノイズのことで、周波数の低い音ほど大きく強く聞こえます。
このため、ピンクノイズは大雨や滝のような自然音に似ており、リラックス効果があると言われています。
こちらがピンクノイズのサンプル音です。
(※ 音量にご注意ください)
そこで研究チームは過去の研究のメタ分析によって、ホワイトノイズとピンクノイズへの曝露がADHD患者のタスク遂行能力にどんな影響を与えるかを調べてみました。