2024年で最も魅力的な顕微鏡画像を発表
ここでは、「When Art Meets Science 2024」にて、見事受賞を果たした3作品をご紹介します。
どの作品も顕微鏡画像とは思えないほど芸術的な作品となっています。
第3位:Roses are Red
この作品は、Heidi Strauss氏の「Roses are Red」です。
これは、患者から提供された膵臓の腫瘍組織から直接培養された細胞群の画像です。
これらの細胞を成長させることで、元の臓器の特徴を保持したミニチュアの臓器(オルガノイド)を作成できます。
そして研究者たちは、これを用いることで、新しい治療法のテストを行えます。
画像は繊細な細胞の構造を示していますが、バラに似ていることから、「Roses are Red(バラは赤い)」というタイトルがつけられました。
※画像は、トリミング・背景除去・コントラスト調整が行われました。
第2位:Close to my Heart
この作品は、またしてもBobby Boumelhem氏のものであり、「Close to my Heart」というタイトルです。
これは乳がんの腫瘍細胞の画像です。
毎日約60人の女性が乳がんと診断されています。
早期検査・治療が行われているにも関わらず、乳がんの仕組みについては未だ不明な点が多くあります。
研究では、乳がんの腫瘍から採取した細胞を増殖させ、様々な条件下で細胞がどのように変化するか調査しています。
その際、細胞構造や細胞核が染色され、変化が測定されました。
この画像を分析することで、悪性腫瘍に関する新たな洞察が得られるかもしれません。
※画像は編集・加工されていません。
優勝作品:Cloudy Brain with a Chance of Forgetfulness
優勝作品に選ばれたのは、Ka Ka Ting氏の「Cloudy Brain with a Chance of Forgetfulness」です。
これはアルツハイマー病のマウスの海馬の画像です。
海馬は、脳の中でも特に記憶、学習、感情に関わっている領域です。
画像では、マウスの海馬に、アルツハイマー病の特徴の1つである白いアミロイドプラーク(脳内に蓄積した老廃物)が確認できます。
これが脳細胞(青色)や血管(赤色)に損傷を与えることで、マウス(または患者)に記憶喪失を生じさせると考えられています。
画像から、青と赤で構成される美しい海馬が、カビのような白の斑点で汚染されている様子がよく分かりますね。
※画像は編集・加工されていません。
ここまでで紹介した1~3位の作品は、細胞の神秘と美しさをよく表現しています。
このような細胞が、私たちや動物たちの体の中にあることを考えると、なんとも不思議な気持ちになりますね。
ちなみに、今年の「When Art Meets Science」優勝作品は発表されましたが、まだ一般の人々が選ぶ「People’s Choice Award 2024」は残っています。
専用のページから、オンラインで投票できるため、ぜひ確認してみてください。