人工ナノ粒子で火星を覆うテラフォーミング
人工ナノ粒子で火星を覆うテラフォーミング / Credit:Canva,ナゾロジー編集
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【火星の気温を30℃上げる】棒状の人工ナノ粒子で火星を覆うテラフォーミング計画

2024.08.27 Tuesday

人類は昔から、地球以外で定住できる場所を得ようしてきました。

そのための1つの方法は、人類が居住できるよう天体を改造する「テラフォーミングです。

最有力候補である「火星」のテラフォーミング計画は、これまでに様々なものが提出されてきました。

そして最近、アメリカのノースウエスタン大学(Northwestern University)に所属するサマネ・アンサリ氏ら研究チームは、人工ナノ粒子で火星を覆う新たなテラフォーミング計画を提出しました。

この方法により、-60℃の火星を30℃以上温暖化させることができるようです。

研究チームは、「これまでに提出されてきたテラフォーミング計画よりも5000倍以上効率的だ」と主張しています。

「人工ナノ粒子で火星を覆う」とは、いったいどのような方法なのでしょうか。

研究の詳細は、2024年8月7日付の学術誌『Science Advances』に掲載されました。

How we could warm Mars https://news.northwestern.edu/stories/2024/august/how-we-could-warm-mars/ New Mars terraforming idea: engineered, heat-absorbing dust nanoparticles https://www.space.com/mars-terraforming-engineered-dust-nanoparticles
Feasibility of keeping Mars warm with nanoparticles https://doi.org/10.1126/sciadv.adn4650

火星のテラフォーミングは非現実的!?

「赤い惑星」とも呼ばれる火星は、テラフォーミングの最有力候補だと考えられています。

それでも今のところ、火星は人類の居住には適していません。

まず、火星の表面温度は平均-60℃(マイナス60度)であり、地球の平均気温(14℃)と比べると、大きな差があります。

また地球海面上の気圧が1013hPaなのに対し、火星の大気はわずか6~7hPaです。

しかもその95%が二酸化炭素で構成されており、酸素は0.13%しか含まれていません。

火星は大気が非常に薄く、酸素もほとんどないのです。

さらに人類に不可欠な水は、火星の地下に氷の状態で閉じ込められていると言われています。(最近では液体の水が存在している可能性も示唆されています)

このため、火星を水で満たすために火星を温暖化させようというアイデアが昔から存在しています。

4段階で描いた火星のテラフォーミングの想像図
4段階で描いた火星のテラフォーミングの想像図 / Credit:Wikipedia Commons_テラフォーミング

例えばこれまでには、「小惑星や彗星を火星の表面に衝突させて、水蒸気やその他の温室効果ガスを放出させる」というアイデアがありました。

また、「強力な温室効果ガスであるフロンを排出する工場を火星に建設する」というアイデアもありました。

ちなみに火星では材料となるフッ素が希少なため、火星でフロンを製造するには、地球から膨大な量のフッ素を運ばなければいけません。

いずれにせよ、非現実的な計画だと言えますね。

そんな中、アンサリ氏ら研究チームは、「より現実的な(と主張する)」火星温暖化計画を発表しました。

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