自宅の近くで発見されたクマムシの赤ちゃんの動画が、顕微鏡写真コンテスト5位に
ゲルドホフ氏は、アメリカのマサチューセッツ州ウィンスロップの自宅の近くで、この可愛らしいクマムシを見つけました。
彼は自宅近くの歩道から苔を集め、その中から微生物たちを回収。湿らせたスライドガラスの上に載せました。
この中には線虫とクマムシの卵が含まれており、数日後にクマムシが5匹孵化しました。
そこでゲルドホフ氏が顕微鏡を使ってクマムシたちを確認したところ、クマムシの赤ちゃんのうち1匹が、線虫の方向に流れていき、線虫の背中につかまったのです。
彼が使用していた顕微鏡には、ちょうど撮影のためにiPhone 14 Proが接続されており、この珍しい出来事を見逃すことなく録画できました。
この映像に関して、英国南極研究所(BAS)に所属するクマムシの研究者サンドラ・マッキネス氏は、「このような出来事は時に生じるうるものだが、そのタイミングで、記録するためのカメラが手元にあるケースは滅多にない」と述べています。
クマムシの騎乗シーンを撮影できたゲルドホフ氏は、絶妙なタイミングを逃さなかったのです。
また他の科学者によると、クマムシはガラスやプラスチックのペトリ皿の上を歩くことはできないため、何もできずに暴れ回るよりも、たまたま出会った線虫をつかむことを選んだと考えられるようです。
ちなみに、ゲルドホフ氏は「線虫がクマムシを食べることもある」とコメントしています。
一方でクマムシの種類によっては、クマムシが小さな線虫を丸呑みすることもあります。
そのため「線虫にしがみつくクマムシ」という微笑ましい映像の背後には、「食べるか食べられるか」といった2匹の微妙な関係性が隠れているのかもしれません。
そしてこのゲルドホフ氏の動画は、顕微鏡写真コンテスト「2024 Small World in Motion Competition」でも高い評価を受け、多くの作品の中から5位に輝きました。
最強生物「クマムシ」の名は、その可愛らしい騎乗姿と共に、新たに歴史に刻まれることになったのです。