「女性の声の高さがリスクを促すのか」VRで実験!
最初の実験では66名の健康な男性(平均年齢22歳)を参加者として募りました。
彼らには女性の声でナビゲートされるVR(仮想空間)の運転シミュレーションに取り組んでもらいます。
男性は2つのグループに分けられ、一方は女性ナビゲーターの声を低いロートーンに、もう一方は声を高いハイトーンに設定しました。
この条件のもと「ストップライト課題」というタスクを行います。
このタスクは運転する車が交差点に近づくと自動的に信号が黄色に変わるようにデザインされており、男性は黄色信号をそのまま直進するか止まるかを選択しなければなりません。
ここで男性が黄色信号を直進した回数がリスク行動の指標となりました。
2つ目の実験では120名の健康な男性(平均年齢21歳)を対象に、リスク行動における社会文化的な要因の影響を調べています。
参加者は同じく2つのグループに分けられ、一方は高い女性のガイダンス音声を、もう一方は低い女性のガイダンス音声を聞かされます。
実験は中央に黒板だけがある何もない部屋(VR)で始まりました。
ここでは女性ガイダンスの声がスマートボイス製品を紹介し、参加者はその声の魅力を評価します。
これに続いて、参加者に2種類のテキストのいずれかをランダムに振り分け、それを読んでもらいました。
一方のテキストには「女性は勇敢で強く、健康的でスポーツ好きであり、男らしい男性を好む」という、男性のリスク行動を誘発するような文章が書かれています。
もう一方のテキストには「女性は忍耐強く家庭的で、親切であり気配りができ、成熟した男性を好む」という、リスク行動を抑制するような文章が書かれています。
この状態で男性たちは高層ビルの屋上(VR)に移動し、空中に差し出された長さ3メートルの木の板の上を端まで歩くように女性の音声で指示されました。
ここでは男性たちが木の板の上を歩く速度がリスク行動の指標とされています。
男性は「女性の高い声」にさらされると危険を冒す!
1つ目の実験の結果、ハイトーンな女性の声を聞いた男性たちは、ロートーンな女性の声を聞いた男性たちに比べて、黄色信号を直進する回数が一貫して多くなっていることが判明しました。
これは男性が進化生物学的に、高い女性の声にさらされるとリスク行動を取りやすくなる性質を持っていることを示唆するものです。
「黄色い声援」という言葉があるように、やはり男性陣は女性の高い声にテンションが上がってしまうのかもしれません。
ところが2つ目の実験の結果、男性がリスク行動を取るか否かは社会文化的な要因によって左右されることが示されています。
高い声の女性ガイダンスを聞いた男性のうち、「女性は勇敢で男らしい人が好きだ」というテキストを読んだグループでは、先の実験と同様にリスク行動を取る確率が高まっていました。
しかし「女性は忍耐強くて落ち着いた人が好きだ」というテキストを読んだ男性では、高い声の女性ガイダンスにさらされても、リスク行動を取る傾向が大幅に低くなったのです。
以上の結果をまとめると、次の結論が導き出せます。
男性には女性の高い声を聞くと危険を冒したくなる性質が進化生物学的に備わっているものの、「女性が落ち着いた男性を好む」という文化的な背景があることを知っていると、男性は女性の高い声を聞いてもリスク行動を取らなくなる
つまり、男性がリスク行動を取るか否かは進化上の要因に加えて、社会文化的な要因も大きく影響していたのです。
男性は確かに、女性のハイトーンな美声を聞くと危険を冒したくなるようですが、女性が「危ないことをする男は嫌い!」とわかっていると、男性も女性の高い声に釣られずに自制心を保てるようです。
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