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サルは選挙に負けた候補者のほうをじっと見つめる習性があると判明/Credit:canva,Yaoguang Jian,CC-BY 4.0
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なぜかサルは選挙に負けた候補者のほうをじっと見つめる習性があると判明 (2/2)

2024.09.26 Thursday

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サルたちは人間のアゴを見ていた

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選挙結果に最も大きな影響を与えた因子はアゴの突き出しレベルで得票率の7~8%に影響しました/Credit:Yaoguang Jiang et al ., bioRxiv (2024)

サルたちは候補者のどの部分を見て勝敗を認定していたの?

謎を解明すべく研究者たちはサルたちの認定した勝者と敗者の顔の構造を比較分析することにしました。

するとアゴの突き出しレベルやアゴの広さ、そして顔の縦と横の比率、頬骨の狭さなどが得票率と連動していることが明らかになりました。

特にアゴの突き出しレベルは最も影響が強く、得票率の7~8%を占めていることが示されました。

また勝者と敗者の顔を比較すると、勝者のアゴは敗者のアゴに比べて平均2%ほど突出していることが発見されました。

これまでの研究により、男性ホルモンの「テストステロン」レベルが高い人ほど、アゴが突き出るように変化することが知られています。

またテストステロンはスポーツなどの試合に勝つことで急上昇し、負けると急低下するなど勝負において特殊な役割を担っていることが判明しています。

格下の相手に負け続ける恐ろしい「勝者敗者効果」を人間で確認

つまりサルたちはアゴが付き出している候補者の顔写真を「ボスザル」あるいは「自分より強いサル」と認定していたことになります。

実際、サルたちは男性候補者と女性候補者の顔写真を並んで見せられたときには、男性を勝者に選ぶ確率が高くなっていました。

また女性の候補者同士の比較においては、よりアゴが付き出している女性を勝者に選びました。

研究者たちは「人間とサルの判断一致は、顔に対する偏見が人間とサルの間で共有されていることを示している」と述べています。

人間はサルと違って文明を築き高度な科学力を発達させてきました。

しかし「人を見る目」のような原始的な部分については、サルも人間も同じ判断基準に頼っていたのかもしれません。

さらに研究者たちはこの点について、現実の選挙ポスターについて興味深い事実を指摘しました。

選挙ポスターに映される候補者は圧倒的に「笑顔」の表情をしています。

研究者たちはポスターに笑顔が選択される理由の1つに、笑顔にはアゴのラインを強調する効果があると述べています。

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サルはトランプ氏とハリス氏を同じように3回見つめました/Credit:Yaoguang Jian,CC-BY 4.0

ではこれから行われる大統領選挙についてはどのように判定するのでしょうか?

2024年9月26日の米国では共和党のトランプ氏と民主党のハリス氏が大統領の座を巡って選挙活動を行っています。

そこで研究者たちはトランプ氏とハリス氏の両方の顔写真をサルにみせて、大統領選挙の結果を占おうとしました。

しかしサルたちが両者に視線を向ける頻度と時間は半々であったことが判明。

上の図でも視線の頻度が3対3で同じことが示されています。

これは両者の得票率が拮抗する可能性を示しています。

人間のアナリストによる「選挙戦は接戦になる」との予想とも一致します。

一方、トランプ氏側の副大統領候補とハリス氏側の副大統領候補をサルたちに見せた場合、ハリス氏側の副大統領が勝つという結果が得られました。

日本においても現在いくつかの選挙が近づきつつあります。

もし日本でも同じ実験を行うことができれば、日本の未来をサルたちに占ってもらうことができるかもしれません。

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