なぜアルコールに強いのか?
チームがオリエントスズメバチの体を詳しく調べてみると、彼らは他の生物と違い、アルコールの分解に関与する「アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)遺伝子」を複数コピー持っていることが判明しました。
これにより、彼らのアルコール耐性は他の生物に比べて大幅に高くなっていたのです。
研究者によると、こうしたアルコール耐性の高さはオリエントスズメバチの生存を有利にする上で進化したのだろうと指摘します。
というのも多くの果実は10〜11月の秋頃に熟し、発酵してエタノールを生産しますが、オリエントスズメバチのコロニーの繁殖期がちょうど10〜11月なのです。
つまり、オリエントスズメバチは繁殖にかかる膨大なエネルギーを効率的に得るために、他の生物たちがアプローチできない高アルコール濃度の発酵果物を食べられるようになったのでしょう。
また彼らのような肉食性のハチは腐肉を集めて幼虫に分け与えることが知られています。
そこで抗菌作用を持つエタノールを体内に取り込むことは、有害な細菌を子供たちに与えない上でも役に立っているかもしれません。
オリエントスズメバチたちはアルコール耐性を強化することで、他の生物との資源競争から一抜けし、安定した生存戦略を築き上げていると考えられます。