スズメバチはお酒で全く酔わない?
私たちヒトはお酒が大好きな生き物であり、毎日の晩酌が生きがいという方も少なくないでしょう。
それは他の生物たちも決して例外ではありません。
自然界には醸造されたビールや日本酒などはありませんが、花蜜(かみつ)や果実が熟して発酵するとアルコール成分が発生します。
発酵とは、酵母菌が花蜜や果物に含まれる糖を分解してエタノールを生成するプロセスです。
エタノールは非常に高エネルギーな成分であり、砂糖のほぼ2倍のカロリーを含んでいます。
そのため、自然界ではとても貴重なエネルギー源となっているのです。
実際にサルや昆虫、鳥、ゾウを含む何十種類もの生物たちが日常的に発酵した花蜜や果実を食べていることがわかっています。
その一方で、エタノールを摂りすぎると望まない副作用が出るのも私たちヒトと同じです。
特に自然界の生物のほとんどはアルコール耐性があまり高くなく、アルコール度数4%を超えると、ぐでんぐでんになります。
つまりは正常に歩いたり飛行することができなくなるのです。
ところがテルアビブ大学の研究チームは、その中で興味深い例外がいることに気づきました。
「オリエントスズメバチ(学名:Vespa orientalis) 」です。
オリエントスズメバチは地中海沿岸に見られるスズメバチの一種ですが、その他にマダガスカルやインド、それから人間による移入で南米でも見られるようになっています。
チームは以前から、オリエントスズメバチが発酵した果物を積極的に食べているのに、エタノールによる副作用をまったく受けていないように見えることを不思議に思っていました。
そこでチームは今回、オリエントスズメバチたちがどこまでのアルコール度数に耐えられるのか、検証してみることにしました。