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【アルコール度数80%でほろ酔い】スズメバチは生物界一の「酒豪」だった! (2/3)

2024.10.28 Monday

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驚異の酒飲み!アルコール度数80%で「ほろ酔い」

チームは約2000匹のオリエントスズメバチを採取し、研究室に持ち帰って、ショ糖にエタノールを加えた溶液を与えました。

まずは低濃度のアルコール度数を与えてみたところ、予想通り、オリエントスズメバチには何の変化も見られなかったので、アルコール度数を20%に設定しています。

これは酵母菌が生産できるアルコール濃度の限界です。

ところがオリエントスズメバチはアルコール度数20%の溶液を飲んでも、まったく異常がありませんでした。

アルコール度数20%というと日本酒の限界値がそれくらいです。

ただ私たちがアルコール度数の高い日本酒を飲むときは大体、水割りやお湯割りで濃度を薄めることが多いでしょう。

しかしハチたちはアルコール度数20%程度なら、薄めずにそのまま飲んでもヘッチャラなのです。

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オリエントスズメバチの顔 / Credit: en.wikipedia

そこでチームはオリエントスズメバチのアルコール耐性の限界を突き止めるべく、溶液のエタノール濃度をどんどん高めていきました。

その結果、オリエントスズメバチは最終的にアルコール度数80%の溶液を飲んだときにやっと「ほろ酔い」の症状が出たのです。

ハチ個体の多くはこの度数の溶液を飲むと、歩行や飛行に少し支障が出ていました。

比較として、セイヨウミツバチに同じ度数の溶液を与えてみると、完全に動けなくなっただけでなく、24時間以内に死んでしまっています。

ところがオリエントスズメバチは驚くことに、アルコール度数80%の溶液を飲んでも数分後には回復し、通常の行動を取るようになっていたのです。

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アルコール度数80%は酵母では作れない / Credit: canva

アルコール度数80%というと、もはや酵母を使った醸造酒では作れません。

酵母の発酵により作られるアルコール度数の限界は、先ほども言ったように20%程度です。

この先は「蒸留」という、発酵させた液体原料を熱して蒸発させ、その気体を冷やして再び液体に戻す方法によってアルコール濃度を高めるしかありません。

蒸留酒の代表例といえば、ジンやラム、ウォッカ、焼酎、泡盛などで、アルコール度数80%の蒸留酒だと、オーストラリアのラム酒「ストロー」がちょうどそれくらいです。

オリエントスズメバチはストローと同じアルコール度数をグビッといって、ようやく「ほろ酔い」になるという驚異の酒豪でした。

では、オリエントスズメバチはなぜこれほどアルコール耐性が高いのでしょうか?

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