虫の羽がエラから進化した可能性を示す化石
研究グループはニーダーザクセン州の採石場で古生代の終わりに絶滅した古生代翅目の幼虫のぬけがらの化石を発見しました。
発見された化石の成虫は羽のある虫の祖先である可能性が高いと言います。
この幼虫の抜け殻には体の様々な箇所で水の中で暮らしていたことを示す構造が多くありました。
何より注目されたのは、幼虫の胸部にある未発達な3対の羽です。
この3対の羽の構造は、水生昆虫の腹部にあるエラ板の構造と酷似していました。
ぬけがらの化石の元になった幼虫は、未発達な羽でエラのように酸素を取り込んでいた可能性があります。
幼虫のときは水生で、成虫になったら羽を持つ虫というのは少なくありません。
例えばカゲロウやトンボなどは幼虫のときは水生でエラで呼吸しますし、カゲロウの中にはエラが羽のような構造になっているものもいます。
エラは大きいほど効率的に酸素を取り込めるので、エラが大きく進化していくのは生き抜くために自然な流れです。
研究グループはこの幼虫の抜け殻の化石にある未発達の羽が元は呼吸をするためのエラで、これらが大きく進化し、羽になったのではないかと考えました。
この発見は、水生環境によって昆虫の羽が進化した説を大きく後押しするものです。
しかし、あくまで今回発見された化石は「すでに羽を得ている」虫であり、羽を得る中間体を示すものではないため、陸に上がってから進化したという説を完全に否定できるものではありません。
陸に上がってから進化したとしたら、羽は虫のどの部分が進化したものなのでしょうか?
ここからは陸に上がってから虫の羽が進化したという説についてご紹介していきます。