何気なく使っている芳香剤は安全?そこに含まれる揮発性有機化合物とは?
トイレの嫌な臭いに対処したり、室内を爽やかな空間にしたりするため、芳香剤を活用する人は多いでしょう。
しかし、これら芳香剤には、揮発性有機化合物(VOC)が含まれています。
これらは室内の空気汚染の一因とされ、呼吸器や免疫系、さらには脳機能に悪影響を及ぼす恐れがありますが、そのことを意識している人は多くありません。
揮発性有機化合物(VOC)とは、常温で容易に揮発(蒸発)し、空気中に漂う化学物質の総称です。
このVOCには、様々な成分があり、主なものだけでも200種類はあります。
例えば、塗料やガソリンから揮発するトルエンやキシレン、金属や機器の洗浄に使用されるトリクロロエチレンなどはその代表的なものです。
トルエンは神経毒性があり、頭痛やめまいを引き起こすことがあります。
キシレンは目や呼吸器を刺激し、中枢神経系に悪影響を及ぼす可能性があると言われています。
またトリクロロエチレンも、皮膚や粘膜を刺激し、認知能力や行動能力を低下させる場合があります。
そして、ワン氏ら研究チームによると、私たちが何気なく使っている芳香剤にはベンゼン、フタル酸エステル、リモネンなどのVOCが含まれていることがあります。
これらは空気中の他の物質と反応し、ホルムアルデヒドや二次有機エアロゾルなどの二次汚染物質を生成。中枢神経系(脳や脊髄)の損傷やホルモンレベルの変化など、人間の健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。
ただし、有害な影響のすべてがすぐに現れるわけでもないため、芳香剤の長期間の使用が実際にどのような悪影響を及ぼすのか調べることは困難です。
それでも科学者たちは、VOCの長期的な吸入が、発がんリスクや認知症のリスクを高めたりすると考えてきました。
そこで今回、ワン氏ら研究チームは、認知症であるアルツハイマー病に焦点を当て、VOCを生じさせる家庭用品の使用との関連を調べることにしました。