芳香剤の使用とアルツハイマー病には関連がある
アルツハイマー病協会(Alzheimer’s Association)によると、アメリカでは約700万人がアルツハイマー病を患っていると推定されており、その数は2050年までに約1300万に倍増すると予測されています。
いったいどんな要素がここまでアルツハイマー病を広げているのでしょうか。
今回、ワン氏ら研究チームは、アルツハイマー病のリスクを高めると推測されている化学物質に着目し、それらが含まれている可能性がある8つの家庭用品と認知症であるアルツハイマー病との関連を調べることにしました。
彼らは2018年の中国人に対する健康と寿命に関する調査「CLHLS 2018」から、65歳以上の中国人1万387人の健康情報を取得し、家庭用品(殺虫剤、虫歯予防剤、芳香剤、消毒液など)の使用状況と、アルツハイマー病との関連性を分析したのです。
その結果、芳香剤の使用頻度が高い高齢者は、認知機能が低下しやすく、アルツハイマー病になる可能性が高いことが示されました。
私たちが何気なく使っている芳香剤は、アルツハイマー病のリスクとの相関関係があると分かったのです。
こうした結果は、芳香剤が放出する揮発性有機化合物(VOC)の長期的な影響を真剣に考慮すべきことを示しています。
家庭用品に含まれる化学物質は、特に子供やペットに悪影響に与えると考えられていますが、研究チームは、高齢の人にもそれらが悪影響を及ぼす可能性があることを強調しています。
研究チームが指摘するように、人々の多くは1日の90%以上を屋内で過ごしており、高齢者になるとその時間はさらに増えます。
だからこそ、「室内に充満している化学物質の影響を無視してはならない」のです。
ちなみに今回の研究では、芳香剤の他に、消毒液や虫歯予防剤の使用もアルツハイマー病との関連が確認されており、危険かもしれない家庭用品が他にもあることを示唆しています。
もちろん今回の研究には限界があります。
芳香剤とアルツハイマー病の関連性は見いだされたものの、因果関係やメカニズムが証明されたわけではありません。
それでも、私たちが普段何気なく使用し、体に取り入れ続けている家庭用品に対して、「これは本当に無害だろうか」「長期的な悪影響はないだろうか」と考えてみるのは良いことでしょう。