サクサク天ぷらはポイントを押さえれば自宅で無理なく作れる
サクサク天ぷらはポイントを押さえれば自宅で無理なく作れる / credit: Wikimedia Commons
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家で作れるサクサク天ぷら!ワザの決め手はサイエンスだった! (2/3)

2024.12.28 12:00:24 Saturday

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家でサクサクの天ぷらを作るためのレシピと裏技

ここまで、天ぷらをサクサクにするためのポイントを見てきました。

ひとつはグルテンを含む食材を減らすこと、次にグルテンの生成を抑えること。さらに、衣の水分をなるべく早く外へ出してしまうことです。

ここでグルテン対策と水分対策の両方を解決してくれる食材をひとつ挙げます。

マヨネーズです。

マヨネーズは塩味などをつけた卵と酢を油で乳化させたソースの一種です。酢と油は軽く混ぜても分離してしまますが、マヨネーズは分離せず、トロリと柔らかいクリーム状になっています。

これは、酢と混ぜ合わせた卵に、激しく拡販しながら少しずつ油を加えていくことで「乳化」させているため、分離しないのです。

すべての分子には分子間力という、互いに引き合う力が働いていますが、水と油の分子は結びつきにくく、水と油が接していると、水は水、油は油の分子と強く引き合うため、混ざり合いにくくなっています。

合わない人同士のことをよく「水と油」という、あれです。

この水と油の境目を「界面」と呼び、境界面をなるべく小さく、安定させようとする「界面張力」が働いています。

水と油は混ざりにくい。水分子と油分子の境界は界面という
水と油は混ざりにくい。水分子と油分子の境界は界面という / credit: ナゾロジー編集部

この界面張力の働きを弱めて食品の水と油が混ざり合うことを「乳化」といい、界面張力の働きを弱めて水と油が混ざるようにする物質は「乳化剤」といいます。

マヨネーズは原料の卵の卵黄に、乳化剤の働きをするレシチンが含まれているため、酢と油がきれいに混ざり、トロリとしたクリーム状になっています。

食品中で水と油が乳化している時、水の中に油が粒子となっている場合を水中油型=O/W型(Oil in Water)で、マヨネーズがこれです。反対に油の中に水が粒子となっている場合を油中水型=W/O型(Water in Oil)と呼びます。

ここで天ぷらの衣について思い出してみましょう。天ぷらの衣からは、水分がなるべく早く抜けるほうがサクサク感を持つ天ぷらになることがわかりました。

マヨネーズを使った衣は乳化しているため、水がの蒸散が速い
マヨネーズを使った衣は乳化しているため、水がの蒸散が速い / credit: ナゾロジー編集部

衣の中の水分を一部マヨネーズに置き換えることで起きることは以下のようになります。

・マヨネーズの中の酸が衣の中でのグルテンの生成を抑える

・乳化された植物油が衣に分散→衣の中の水分を減らしている

グルテン生成を抑え、衣の水分を減らすのがサクサク天ぷらのキモです。

衣に小麦粉は必要です。でんぷんだけだと食材に衣がつきにくいだけでなく、粘度が極端に低いため衣が薄くなってしまい、天ぷららしさのない、から揚げのような料理になってしまうからです。

そこでグルテンの少ない薄力粉を使いながらグルテンの生成は抑えたいので、小麦粉の量の一部をでんぷんに置き換えます。

論文『天ぷらの衣のフライ特性に及ぼす澱粉の影響』によれば、水を160%、揚げ油の温度を170℃とした場合、衣からの水分飛散率を見た場合、トウモロコシでんぷんは70秒で水分飛散率が80%に達しています。

食材が食べられるよう加熱され、衣の水分が飛散する=天ぷらが揚がるということです。

水分飛散率が80%に達するために要する時間は、馬鈴薯でんぷん、いわゆる片栗粉で80秒、タピオカでんぷんでは約100秒、モチトウモロコシでんぷんでは100秒間揚げても、水分飛散率は50%を越えなかったという結果が出ています。

つまり、小麦粉を一部グルテンフリーな澱粉に置き換えるとしたら、トウモロコシでんぷん(コーンスターチ)が一番適切だということになりますね。

これでグルテン対策ができました。残り、気を付けることは

揚げる食材に適した油の温度(高すぎても低すぎてもいけない。特に低すぎると水分が飛散する前に衣がたくさんの油を吸ってしまう)

一度にたくさん揚げない(一気に油の温度が下がってしまうため)

となります。

次ページでは、調理実習!

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