嘘をつく動機は性格で変わるのか
日常生活で、誰しも一度は「嘘」をついたことがあるでしょう。
例えば、友達からの誘いを断るために「忙しい」と言ったり、同僚を気遣って「その髪型似合ってるよ」と褒めたりなど。
その嘘は必ずしも悪意があるものではなく、時には人間関係を円滑に保つための「優しい嘘」かもしれません。
一方で社会全体を揺るがすような嘘もあります。
ビジネスの場における不正広告、政治家の虚偽発言、信頼を裏切る浮気や隠し事など、嘘がもたらす影響が軽いものから深刻なものまで多岐にわたります。
しかし、これらの嘘をつく行為は一体どこから生まれてくるのでしょうか。
また人はなぜ時に自分の利益のために嘘をつき、他人のために嘘をつくのでしょうか。
その問いに対し、性格の側面から答えを出そうとした研究があります。
それは 米セント・メリーズ大学のジェニファー・マッカーサー(Jennifer McArthur)氏らの研究です。
彼らは人が嘘をつく理由を洗い出し、以下の11項目に分類しました。
- 否定的な評価を避けるため(試験の成績が悪かったのに、親に「平均点は取れたよ」と嘘をつく)
- 罰を避けるため(仕事でミスをしたが、上司に「まだ終わっていません」と誤魔化す)
- 自己顕示欲を高めるため(初対面の人に、自分の経験や実績を誇張して話す)
- 報酬を獲得するため(ボーナス目当てで上司に「プロジェクトは順調です」と嘘をつく)
- 衝動的な嘘(理由もなく日常的に嘘をつき、友人に「海外旅行に頻繁に行っている」と話す)
- 不注意からの嘘(勘違いで「会議は3時からです」と言ってしまい、その後訂正しない)
- 騙す喜びを得るため(友達に偽の情報を教えて驚かせ、「嘘だよ」と笑う)
- 秘密主義の嘘(周りに知られたくない秘密を隠すため、「仕事で忙しい」と言って友人との約束を断る)
- 保守的な嘘(友達が批判されている時に、「あの子はそんなことしないよ」とかばう)
- 社会的な嘘(友人が作った料理が美味しくないが、「とても美味しい」と伝え、場の雰囲気を壊さないようにする)
- 利他的な嘘(友達が先生に叱られないよう、「一緒に宿題をやった」と代わりに言う)
そして参加者に上記の11項目を見せ、どの動機に基づき嘘をついた経験があるか、またその頻度を尋ねました。
また同時に性格特性に関する質問紙に回答してもらい、嘘をつく種類や頻度と性格の関連性を分析しています。