「百獣の王」ライオンは、骨格筋率58.8%
動物の持つ力は、人間からは思いも寄らないほど強いことがよくあります。イヌでさえも散歩中に興奮してリードを引っ張られると、抑えるのがかなり難しいでしょう。
では、一般的に最も強い動物だと思われているライオンは、どれくらい強いのでしょうか。
最初にライオンの基本的なパラメーターについて考えてみましょう。
ライオンは、哺乳綱食肉目ネコ科ヒョウ属に分類されます。
ネコ科ではトラに次いで大きな種であり、体長1.4~2.5m、体重150~250kgの大きな体を持ちます。
主な生息地は、アフリカ大陸のサブサハラ(サハラ砂漠より南にある地域の総称)ですが、多くの国の動物園で飼育個体を見ることができます。
ライオンは、ネコ科では珍しい社会性を持っており、メスと子ライオン、そして少数の成熟したオスが群れ(プライドと呼ばれる)を形成しています。
狩りは、数頭のメスが協力して行い、シマウマやヌーなどをターゲットにします。
オスが狩りを手伝うことはほとんどありませんが、自分の群れを守るのはオスの役割です。
ちなみに、オスにある「たてがみ」には、主に、オス同士の闘争の際に首を守ったり、体を大きく見せたりする役割があると考えらえています。(これには異論もあります)
このたてがみは、ライオンのテストステロンの上昇に応じて成長し始め、4歳のころに最大になります。
強いオスはテストステロンの分泌も多く、これによりたてがみの色も濃くなります。
オスは、たてがみの色の濃さで自分の強さをメスにアピールすることができるのです。
そしてライオンは、「強そうな見た目」を持っているだけでなく、その体は、実際に大きな力を秘めています。
ライオンの強さの秘密は、骨格筋率(体重における筋肉の重さ)の高さにあります。
ライオンの骨格筋率は58.8%であり、これは哺乳類において最高の比率です。
人間の平均的な骨格筋率が30~35%であることを考えると、ライオンの体がいかに多くの筋肉で構成されているかが分かります。
では、筋肉が詰まった体を持つライオンは、これまでに、どのような強さを示してきたのでしょうか。