ビッグファイブを超えるのか? 大量絶滅説を再点検する理由

地球の歴史では、大量絶滅(比較的短期間に地球上の種の大半が失われる現象)が過去に5回発生したと考えられ、「ビッグファイブ」と呼ばれます。
近年、人類の活動によって「6回目の大量絶滅」が進行しているとの指摘が多くの研究者によってなされてきました。
実際、このテーマに関する有力な著書や論文が発表されており、多く引用されています。
こうした流れから、一見すると「第6の大量絶滅」は科学界で既定路線のようにも受け取られてきました。
しかし今回、米アリゾナ大学の生態学者ジョン・ウィーンズ教授らの研究グループはこの定説に異を唱えました。
論文の著者らは「地球が重大な生物多様性の喪失に瀕しているのは確かだが、現在の生物多様性危機を“大量絶滅”と見なすことには懐疑的だ」と述べており、その真偽を検証することが本研究の目的でした。
過去の大量絶滅を定義する基準(例えば全生物種の75%が失われること等)と照らし合わせて現在の状況がそれに当てはまるかどうか、また第6の大量絶滅を主張する先行研究の根拠に問題がないかを、批判的に評価しました。
その結果、「第6の大量絶滅」が起きていると断言するには少なくとも7つの疑問点があることが示されたのです。