情報はエネルギーである――量子コンピュータの未来を左右する新事実

本研究は、量子の世界でも情報を消去するという操作は明確にエネルギー散逸を伴うことを改めて示し、情報理論と熱力学、そして量子物理学の密接な関係を実証したものです。
一般に私たちは情報を単なるデジタルデータとして捉えがちですが、量子レベルでは、情報とは原子や粒子がどのような配置や動きをしているかを記録した「物理的な状態そのもの」です。
つまり、情報を消すという行為は、この物理的状態に込められた情報が消えることを意味し、それは必ず環境へとエネルギーが逃げ出していくことを伴います。
この結果は、「情報の消失」が単なる記録の消去にとどまらず、必然的に系からエネルギーが失われてしまう物理現象だということを示しています。
これにより情報がもはや抽象的な概念にとどまらず、「エネルギー」という実体と密接に結びついていることが改めて浮かび上がりました。(※情報=エネルギーという短絡的なものではなく情報とエネルギーの切り離せなさが確実になったということです。)
この発見は、将来的に量子コンピュータが発展し、より高密度で微細なシステムが作られていく際に重要な制約として考慮しなければならないポイントとなります。
なぜなら情報を消すたびに必ず発生するこの小さなエネルギーの積み重ねが、最終的にはシステム全体の性能やエネルギー効率に大きく影響する可能性があるからです。
さらに、この研究で用いられた実験手法や考え方は、これまで理論でしか議論できなかった量子世界の不思議さを準粒子という直感的モデルで説明可能であることも示しました。
これにより、量子もつれや熱の不可逆性といった難解な現象を視覚化しながら理解する道が開け、量子物理学をより深く理解する助けになると期待されます。
情報の物理的側面に光を当てた本研究は、量子情報科学と熱力学の融合という新たな学際領域の発展に大きく寄与する画期的な一歩と言えるでしょう。
情報という言葉をもっとしっくりくる言葉に置き換える必要があるのでは?
情報とか言われると何だかわからなくなるけど、電池を放っておくと電荷を失う現象の量子版みたいな感じだろうか