キノコパワーで、排泄物を「森の資源」に
MycoToiletの最大の特徴は「菌糸体」と呼ばれるキノコの根のネットワークを利用して、人間の排泄物を栄養豊富な堆肥へと分解する点にあります。
従来の仮設トイレでは、化学物質を使って臭いを封じ込めたり、廃棄物を有害なゴミとして処理したりしていました。
しかしMycoToiletでは、菌糸体が排泄物を自然のサイクルの中に還元してくれます。
【MycoToiletの実際の画像はこちら】
実際の仕組みはこうです。
トイレの奥で排泄物を液体と固体に分離し、固体部分は菌糸体で覆われた専用コンパートメントに送られます。
ここでキノコが強力な酵素を生み出し、有機物を分解。さらに分解を進める微生物たちをサポートしながら、排泄物を堆肥へと変えていきます。
「キノコは人間や動物の排泄物を分解することがとても得意です」とUBCの微生物生態学者スティーブン・ハラム教授は語ります。
「酵素によって複雑な物質をシンプルなものに変え、さらに分解を進める微生物の活動を助けます。しかも、水も電気も化学薬品も必要ありません」
この仕組みによって、臭いの元になる成分の90%以上が除去されるといいます。
また建物自体にも工夫が凝らされており、内部は通気性の高いシーダー材やステンレススチールで清潔感があり、臭いを吸収する菌糸体の壁が設置されています。
屋根はグリーンルーフで地域の植物や動物もサポートし、換気ファンが空気を循環。
こうした最新の建築デザインも「仮説トイレ=不快」というイメージを一新しています。