なぜ集中力はすぐ切れるのか?
私たちの脳は、本来「集中すること」に適した構造を持っていません。
なぜなら、人類が進化してきた過程で「周囲の環境を常に注意深く観察すること」が生存に不可欠だったからです。
古代の人間にとって、狩猟や食糧採取をしている最中に周囲の危険を察知できることが、生死を分ける重要な能力でした。そのため、脳は長時間一点に集中するよりも、こまめに周囲の変化に気を配るように進化してきたのです。
さらに、現代社会は注意を奪う刺激にあふれています。
スマホの通知やSNS、ショート動画の爆発的な流行は、脳にとっては「即座に報酬が得られる刺激」として魅力的に映ります。その結果、脳はすぐにそちらへと意識を向けてしまい、本来集中したいタスクに戻るのが難しくなるのです。
また、集中力には「注意リソース」という限界があり、脳はエネルギーを大量に消費するため、長時間の集中は負担が大きくなります。そのため、一定時間が経過すると脳は自然と集中を切らせようとし、休憩や気分転換を求めるのです。
これが多くの人が「集中力が続かない」と感じる主な理由です。
それでも現代の私たちは社会生活を円満に送るため、できる限り集中を持続させなければなりません。
そこで集中力のカギを握るのが、脳内の神経伝達物質「ドーパミン」です。
これは「やる気ホルモン」とも呼ばれ、報酬を得ることで分泌され、モチベーションを高めます。
脳は本質的に「報酬を求める」性質を持っているため、作業そのものが楽しくなれば集中しやすくなるのです。
ではこうした理屈を元に、集中力を日常生活の中で高めるにはどういうことに気をつけていけばいいのでしょうか?