創作って特別なこと?「創ること」は誰でもできる心のケアだった

私たちは日々、仕事や人間関係、社会的プレッシャーなど、目に見えないストレスを抱えながら生きています。
そんな現代において、「創作」という行為が心に与える影響が、心理学的にも再評価されています。
創作活動とは、自分の内側から何かを表現し、形にする行為すべてを指します。
必ずしも芸術作品のように完成度が高い必要はありません。
たとえば、絵を描くことや写真を撮ること、編み物や刺繍を楽しむことも創作です。
また、詩や日記を書くこと、歌詞やメロディーを考えること、ダンスや演劇で身体を使って表現することも含まれます。
さらに、料理を工夫したり、ガーデニングで空間を演出したりすることも立派な創作活動です。
これらはすべて、自分なりの創造力を使った表現です。

創作に取り組むと、人はしばしば「フロー状態(没頭状態)」に入ります。
これまでの研究によると、これは時間の感覚を忘れるほど集中した状態であり、自己意識や不安感が薄れ、深い満足感が得られるとされています。
また、創作にはストレスや不安の軽減、自己肯定感と自信の向上、感情の整理と自己理解の促進といった心理的効果があります。
過去のメタ分析によれば、創作はウェルビーイング(幸福感、満足度)の向上に統計的に有意な効果を持つことが明らかにされています。
こうしたメリットを考えると、誰もが創作活動に取り組むべきだと分かります。
それでもなお、多くの人は創作に対して尻込みしてしまうものです。
「自分は才能がない」「何を作っても意味がない」と感じてしまう人も少なくないでしょう。
特に現代社会では、成果や生産性が強く求められるため、創作のような非効率な行動は軽視されがちです。
また、「時間がない」「創作する余裕がない」といった日常的な理由も、創作を後回しにする大きな要因です。
では、忙しい現代人が日常生活に創作を取り入れるためには、どんなことを意識できるでしょうか。