ADHDには進化上のメリットがあった?
ADHD症状を持つ人は一般に、目の前の活動に集中し続けることが難しく、落ち着きがなくなって、注意散漫になりやすい傾向にあります。
自分の好きな物や事に対しては過剰な集中力を発揮するものの、嫌いな物や自分の望む成果が出ない事に対しては飽きっぽく、すぐに別の行動に移ってしまいます。
一見すると、円滑な社会生活を営む上では障壁になる特徴ばかりです。
その一方で、研究主任のデヴィッド・バラク(David Barack)氏は、ADHDが人類の中で根強く受け継がれている点に注目します。
ADHDの発症原因には遺伝的要因が大きく関与しているとされていますが、同氏は「もしADHDの形質が本当にネガティブなものでしかないのであれば、進化の過程で自然に淘汰されているはずだ」と指摘します。
これほど人類に広くADHDが受け継がれているということは、私たちの祖先において何らかのメリットがあったのではないか?
バラク氏ら研究チームはそう仮説を唱えて、ちょっと変わったゲーム実験を行いました。