まつ毛がつくる「健康と美のサイン」
まつ毛は、進化の観点から見ると非常に重要な役割を担っています。
まつ毛は目の縁に並び、ほこりや小さなゴミ、過剰な光や乾燥から目を守るフィルターのような働きをしてきました。
いわば「目の番人」として、人類の進化の過程で保たれてきた器官なのです。
また、まつ毛は顔の印象を大きく左右する要素でもあります。
人と人が向かい合ったとき、最初に注目するのは目であり、その目を縁取るまつ毛の長さや形は、無意識のうちに相手の健康状態や魅力度の判断に影響を与えると考えられています。
研究チームは今回、まつ毛の長さと「健康」「魅力」「性的受容性」の印象がどのように関連するのかを調べました。
研究には、イギリスに住む120人(平均年齢32歳、男性77人、女性43人)が参加。
被験者たちには、アジア系、黒人系、インド系、白人系の女性の顔をコンピューターで生成した画像が提示されました。
画像は「まつ毛の長さ」だけが異なる11種類に加工されており、まつ毛がまったくないものから、目の幅の半分ほどの長さまで段階的に変化しています。
被験者はそれぞれの顔について、「どれくらい健康的に見えるか」「どれくらい魅力的に見えるか」「どの程度、性的に受容的に見えるか」を評価するよう求められました。
その結果、健康さと魅力に関しては「逆U字型」の評価パターンが確認されました。
つまり、まつ毛が短すぎても長すぎても魅力度や健康感は下がり、最も高く評価されたのは「目の幅の約3分の1の長さ」のまつ毛だったのです。
この傾向は人種や評価者の性別によらず一貫して見られました。
言い換えれば、「長ければ長いほど美しい」というわけではなく、自然に見える“ちょうどよい長さ”こそが、最も健康的で魅力的に感じられるということが示されました。