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Credit: riken english channel(youtube, 2025)
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塩水で完全分解する「新型プラスチック」を開発

2025.12.18 18:00:29 Thursday

プラスチックは便利な反面、環境中で砕けて残るマイクロプラスチックが、自然の生態系、さらには私たちの体内にまで入り込む深刻な問題となっています。

こうした課題を根本から解決する可能性をもつ新素材が、日本の理化学研究所のチームによって開発されました。

その新型プラスチックは、植物由来でありながら堅牢で、しかも塩水中で完全に分解し、マイクロプラスチックを一切残さないという、従来の常識を覆す性質を備えています。

研究の詳細は2025年11月19日付で科学雑誌『Journal of the American Chemical Society』に掲載されました。

堅牢なのに塩水中で分解するプラスチック-安価な木材成分から製造できる次世代高分子材料- https://www.riken.jp/press/2025/20251203_2/index.html The perfect polymer? Plant-based plastic is fully saltwater degradable and leaves behind zero microplastics https://phys.org/news/2025-12-polymer-based-plastic-fully-saltwater.html
Supramolecular Ionic Polymerization: Cellulose-Based Supramolecular Plastics with Broadly Tunable Mechanical Properties https://doi.org/10.1021/jacs.5c16680

なぜ「生分解性プラスチック」でも問題は残っていたのか

これまでにも「生分解性」をうたうプラスチックは数多く開発されてきました。

代表例として知られる「ポリ乳酸」などは、植物由来で環境に優しい素材とされています。

しかし実際には、これらの多くは水になじみにくく、特に海洋環境では分解が極めて遅いという問題を抱えていました。

その結果、完全に分解される前に風化し、5ミリメートル以下のマイクロプラスチックとなって環境中に残ってしまいます。

こうした状況を打破するため、理化学研究所(理研)創発物性科学研究センターの研究チームは、超分子イオン重合と呼ばれる新しい発想に基づくプラスチック設計に取り組んできました。

今回開発された新型プラスチックは、世界で最も豊富に存在する有機物である植物由来セルロースを原料にしています。

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超分子イオン重合によって製造された超分子プラスチックフィルム/ Credit: 理研 – 堅牢なのに塩水中で分解するプラスチック-安価な木材成分から製造できる次世代高分子材料-(2025)

木材パルプ由来のカルボキシメチルセルロースと、正電荷をもつグアニジニウム系分子を水中で混ぜると、両者が磁石のように引き合い、強固な架橋ネットワークを形成するのです。

この構造によって、通常使用時には十分な強度をもつプラスチックとして機能します。

次ページ塩水でほどけ、元の分子に戻る

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