物語の背後に隠された「言葉の足跡」を辿る
テリー・プラチェット氏は、累計発行部数が1億部を超えるファンタジー小説「ディスクワールド(Discworld)」シリーズの著者として知られる、イギリスを代表する作家の一人です。
彼は2007年に「後部皮質萎縮症(PCA)」という病気の診断を受けました。
この病気はアルツハイマー病に関連する稀な形態で、主に脳の後方に影響を与え、視覚的な認識や空間把握、さらには言葉を思い出す力に困難が生じるのが特徴です。
プラチェット氏はPCAと診断された後も、2015年に亡くなるまで精力的に執筆活動を続けていました。
そこで研究チームは、彼が診断の前後で書き残した膨大な小説の中に、認知機能の変化を示す「手がかり」が隠されているのではないかと考え調査を行うことにしたのです。
これまで、認知症の初期サインを捉えることは非常に難しいとされてきました。
しかし、もし一人の人物が数十年にわたって書き続けた記録があれば、その人の「本来の言葉の使い方」と比較することで、ごくわずかな変化を見つけ出せるかもしれません。
研究チームは、人気シリーズ『ディスクワールド』全41作のうち、条件をそろえた33作品を分析対象にしました
児童向け作品など、読者層や文体が大きく変わり得るものは除外し、できるだけ比較しやすい形に整えています。
分析には「スケッチ・エンジン(SketchEngine)」という、膨大な文章データを処理するプラットフォームが使用され、文章を品詞ごとに分け、名詞・動詞・形容詞・副詞がどれくらい多様に使われているかを調べました。(名詞は物や人の名前、動詞は動き、形容詞は性質や状態、副詞は動き方や程度を表す言葉)
研究の狙いは、プラチェット氏が書いた小説の中で、語彙の使い方が時間とともにどう変化したかを定量的に確かめることです。
語彙の多様性を表す指標として使われたのが、「タイプ・トークン比:TTR(Type–Token Ratio)」です。
TTRは、文章中で使われた単語の総数(トークン)に対して、異なる単語の種類(タイプ)がどれだけあるかを見る指標で、同じ言葉を繰り返すほど値が下がる性質があります。
ただしTTRは、文章が長いほど値が下がりやすいという弱点があります。
そこで研究チームは、文章を一定の長さごとに区切りながら平均を取る「移動平均タイプ・トークン比:MATTR(Moving-Average Type–Token Ratio)」も用い、文章の長さの影響を抑えた形式でも検証しました。
比較は大きく2段階で行われました。
1つ目は、2007年の診断以前の作品群と、診断後の作品群を比べる方法です。
2つ目は、時間の流れの中で「どこから変化が目立ち始めるのか」を統計的に推定する方法です。
この後者では、ある指標が診断前後をどれくらい区別できるかを評価し、区別に役立つしきい値を求めたうえで、その値を初めて下回った作品がどれかを確認しています。


























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