「眠るな」と指令を出す脳内回路を発見!
チームが注目したのは、拡張扁桃体に含まれるIPACLと呼ばれる領域です。
ここに存在するCRF(コルチコトロピン放出因子)を作る神経細胞は、新しい環境に置かれたマウスで特に活性化していました。
この神経細胞の働きを人工的に操作すると、はっきりした変化が起きました。
活性化させるとマウスは長く起き続け、逆に抑制すると、新しい環境でも早く眠ってしまったのです。
つまり、IPACLの神経細胞は「新しい環境では眠らない」という反応を支える中枢だと考えられます。
さらに研究を進めると、これらの神経細胞がニューロテンシンという神経ペプチドを使い、中脳のある領域(黒質網様部)へ情報を送っていることが分かりました。
ニューロテンシンが放出されることで、覚醒が維持されやすくなります。
この経路をまとめると、
新しい環境 → 拡張扁桃体IPACLのCRF神経が活動 → ニューロテンシンを放出 → 覚醒が持続
という流れになっていました。
このように、脳は「環境がまだよく分からない」という不確実な情報を、眠らないという行動へと変換していたのです。
今回の研究は、「環境が変わると眠れなくなる」という日常的な体験が、脳の不具合ではなく、生存を支える合理的な仕組みであることを示しました。
この仕組みが過剰に働くと、不眠症やストレス関連の睡眠障害につながる可能性があります。
そのため、拡張扁桃体やニューロテンシンを標的とした新しい治療法の手がかりになることも期待されています。
知らない場所で眠れない夜は、脳が「あなたを守ろう」と必死に働いている証拠なのかもしれません。

























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