57万人の記録が語る、子どもの歯と大人の血管の意外な関係
大人の歯周病(Periodontal disease)が心臓病のリスクを高めることは、これまで多くの研究で指摘されてきました。
しかし、乳歯から永久歯へと生え変わる時期、つまり子どもの頃の口内環境が、数十年後の健康にどう影響するかについては、まだ詳しく分かっていないことが多くありました。
米国疾病対策センター(CDC)のデータでは、6〜9歳の子どもの4割から6割が虫歯を経験しているとされ、この問題は非常に多くの人にとって身近なものです。
これまでの研究では、参加人数が少なかったり、アンケート調査に頼っていたりといった課題があり、子どもの頃の状態が一生の健康にどう関わるのかを正確に把握することは困難でした。
そこでデンマークの研究チームは、国が管理する膨大なデータベースを活用し、この「空白の期間」を埋める大規模な調査を実施しました。
対象となったのは、1963年から1972年の間に生まれたデンマーク人、約57万人です。
研究チームは、1972年から1987年にかけて記録された「全国児童歯科登録(SCOR)」から、彼らの子どもの頃の虫歯の数や歯ぐきの腫れのデータを収集しました。
そして、それから約30年後の1995年から2018年にかけて、彼らが心臓や脳の病気で入院したかどうかを「全国患者登録(LPR)」で照らし合わせたのです。
この調査の結果、子どもの頃に重度の虫歯や歯肉炎(Gingivitis)があった人は、そうでない人に比べて、大人になってから動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を発症する割合が高いことが示されました。
具体的には、虫歯のスコアが最も高いグループでは、将来の心血管疾患のリスクが男性で32%、女性で45%上昇するという関連が見られました。
また、一度きりの検査結果だけでなく、子ども時代を通じて中等度から重度の口内トラブルが見られた群では、その推移パターン自体も将来のリスクと関連していることが分かりました。
これは、子どもの頃の口の健康が、単なる一時的なトラブルではなく、将来の重大な病気の要因となっている可能性を示唆しています。
























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