それでも壊れない「異常な耐久性」
ところが、ここからが本当に驚くべき点です。
これほどの老化ダメージがあるにもかかわらず、ニシオンデンザメは普通に生き、泳ぎ続けています。
研究対象となった個体も、いずれも生存していました。
人間で同じレベルの心臓の損傷が起これば、生命維持は困難になると考えられます。
しかしニシオンデンザメでは、それが問題にならないのです。
この矛盾をどう説明すべきでしょうか。
研究者たちは、ここに「レジリエンス(生物学的な耐性)」という概念を見出しました。
つまりこのサメは、
・老化を防いでいるのではない
・老化のダメージを受けても機能を維持できる
という特異な能力を持っている可能性があるのです。
この背景には、過去のゲノム研究で示唆されている特徴も関係していると考えられます。
ニシオンデンザメはDNA修復や細胞保護に関わる遺伝子を強化しており、一部の遺伝子はコピー数が増えていることが知られています。
これにより、長期間にわたり細胞の安定性を維持できる可能性があります。
今回の研究は、長寿のメカニズムについて重要な転換を示しています。
これまで「長生きする動物は老化が遅い」と考えられがちでしたが、実際にはそうではなく、「老化しても壊れない能力こそが長寿を支えている」可能性が浮かび上がってきたのです。
この視点は、人間の健康寿命を延ばす研究にも大きな示唆を与えます。
老化そのものを止めるのではなく、老化しても機能を維持する仕組みを強化するというアプローチです。

























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