リスクを取る子どもは「危機管理能力」が高くなる可能性
興味深いのは、リスク意欲の高い子どもが、単に無謀だったわけではない点です。
確かに、遊具課題ではリスク意欲が高い子どもほど落下しやすい傾向がありました。
全体では21%の子どもがVR遊具で落下しており、統計的には、リスク意欲が1単位高くなるごとに落下する可能性は78%高くなっていました。
ここだけを見ると、「やはりスリルが伴う遊びは避けるべきだ」と感じるかもしれません。
ところが、道路横断課題では別の結果が出ました。
リスク意欲が高い子どもほど、交通状況を評価してから横断を始めるまでの時間が短かったのです。
しかも、その判断の速さは、衝突やニアミスの増加とは結びついていませんでした。
つまり、リスク意欲の高い子どもは、危険を無視して飛び出していたのではなく、状況をより効率よく読み取り、安全性を損なわずに判断していた可能性があります。
研究チームは、こうした結果を「リスキーな遊びが、危険を管理する力の発達に関わる」という考えと結びつけています。
子どもは遊びの中で、少し高い場所に登り、足場の不安定さを感じ、失敗したら次の動きを調整します。
こうした経験を通じて、どこまでなら自分にできるのかを身体で学んでいくのです。
ただし、この研究は「子どもをどんどん危険にさらすべきだ」と主張しているわけではありません。
重要なのは、子どもの能力に合った管理可能なリスクです。
ちなみに、今回の実験はVR環境で行われたため、現実の道路や遊び場の複雑さを完全に再現しているわけではありません。
それでも結果は、子どもを守る方法を考えるうえで、すべての危険を取り除くことだけが正解ではない可能性を示しています。
失敗しても取り返せる小さな挑戦の中で、自分で考え、試し、調整する経験こそが、将来の安全な行動につながるのかもしれません。




























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