2才で生き別れた双子の姉妹、IQに大幅な開きを確認
本研究に協力してくれた双子の姉妹は、1974年に韓国のソウルで一卵性双生児として生を受けました。
ところが、2才のときに祖母と出向いた市場にて、片方の子が迷子になり、2人は離れ離れになったという。
家族の懸命の捜索もむなしく、少女が見つかることはありませんでした。
その頃、迷子になった少女は、実家から約160キロも離れた病院に搬送されており、家族が見つからないことから里子に出され、最終的にアメリカの夫婦の養子として母国を離れることになったのです。
それから時は流れ、2018年、韓国で家族とはぐれた子供たちを捜索するプログラムの一環として、DNAデータの調査を開始。
アメリカ在住の双子がDNAサンプルを提供したことで、双子の姉妹がアメリカにいることが発覚し、2人は2020年に再会を果たしたのです。
一卵性双生児は、遺伝子がほぼ一致しているため、医学や心理学の研究では、遺伝的要因を除いた影響を調べるためによく利用されます。
研究チームは、この数奇な運命を科学的研究に資するべく、双子に協力してもらいIQテストやインタビューを用いて、育った環境が与える影響について調査を実施したのです。
その結果、双子には、まったく違う環境で育ったにもかかわらず、数多くの共通点が見出されました。
たとえば、「良心的で自尊心が高い」という性格特性は一致しており、神経質な性格ではないことも示されました。
2人の職業は行政官と料理人で違っていましたが、仕事に対する満足度や精神衛生の高さでも同じスコアを出しています。
また、過去の病歴にもかなりの類似性が見られました。
ところがその中で、IQ(知能指数)のスコアだけは、韓国で生まれ育った双子の方が16ポイントも高くなっていたのです。
それから、処理速度や非言語的推論(対称性・形状・サイズ・方向など、視覚的な能力を指す)のスコアにも、同じく顕著な開きが見られました。
研究主任で、CSUの心理学者であるナンシー・シーガル(Nancy Segal)氏は、この結果を受け、「人間の知能がどの程度遺伝子により決定され、どの程度育った環境に影響されるか、再考する必要がある」と述べています。
この差は、やはり環境の違いによるものなのでしょうか?