子供の知能は「育つ環境」で変わる可能性も
本研究のスコアは、双子の持ついくつかの能力について明確な違いを示しましたが、一方で、その理由は明確ではありません。
アメリカ在住の双子は、成人後に3回ほど脳震とうを経験していると報告されているため、それが何らかの影響を与えた可能性も否定はできません。
しかし、認知スコアに影響するような問題と言えるかは明らかではなく、やはり考えられる要因は「育った環境の違い」が大きいでしょう。
双子が育った場所は、アメリカと韓国という異国の地であることに加え、家庭環境もまったく違うものでした。
韓国の方は、子供の自由に寛容的だったのに対し、アメリカでは自由が少なく、養父母との対立も多かったといいます。
また一般的に、アメリカは韓国と比べて、国民文化的に個人主義的であり、集団主義的ではありません。
研究チームは、こうした文化間の背景も、双子の特性に違いを産んだ可能性があると見ています。
本研究の成果は、「自然」対「育成」(Nature versus Nurture)の観点から、ある種の性格・行動特性は、たとえ子供が異なる環境で育ったとしても変わらないことを証明していますが、知能や認知能力には変化が出る可能性を示唆するものです。
しかしその上で、研究チームは「たった一組の双子から多くの結論を引き出しすぎないことが肝心だ」と述べています。
今回のようなDNA検査は現在、世界中で普及し始めており、今後数年間で、行方不明の双子の発見例は増える見込みです。
より多くのデータを得ることで、子供の知能や性格が、遺伝子と環境のどちらにより強く左右されるのか、明らかにできるでしょう。