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画像はイメージです/ Credit: canva
nature

ハワイの山頂で「赤い雪」を発見、原因は?

2025.10.27 07:00:23 Monday

南の島・ハワイで、まさかの「赤い雪」が発見されました。

常夏の楽園というイメージの強いハワイですが、最高峰マウナケア山の頂上には毎年冬になると雪が積もります。

そして最近、世界でも類を見ない孤立した雪氷圏(せっぴょうけん)、具体的には、標高4200メートルのマウナケア山で、古くから極地や高山で知られてきた「赤い雪(赤雪現象)」が、山梨大学ら日本の研究チームによって初めて発見されました。

その正体は、特殊な微生物・雪氷藻類(せっぴょうそうるい)が雪の上で大繁殖して起こるもの。

なぜこの南国の孤島で赤雪が出現したのでしょうか?

研究の詳細は2025年9月5日付で科学雑誌『The ISME Journal』に掲載されています。

【研究成果】世界で最も孤立した雪氷圏・ハワイ島マウナケア山で雪氷藻類による「赤い雪」を発見 微生物の地球規模の分散と気候変動との関わりを示す https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/93110
Colonization history of snow algae on Hawai‘i island https://doi.org/10.1093/ismejo/wraf197

常夏ハワイで見つかった「赤雪」現象

赤雪現象、これは雪がまるでいちごシロップをかけたかのように赤く染まる、不思議な自然現象です。

この正体は「雪氷藻類」と呼ばれる単細胞の微生物。

氷や雪の上でも生き抜く力を持ち、紫外線から身を守るため細胞の中にアスタキサンチンという赤い色素を蓄えています。

これらが大量に増えると雪が赤く染まるのです。

赤雪は古代ギリシャの時代から知られており、あのダーウィンもアンデス山脈で目撃したと記録に残しています。

こちらは、赤い雪の発見地点と藻類の顕微鏡写真です】

しかし、赤雪がどのような条件で現れるのか、世界中のどこでも起こるのか、その生態は長年謎に包まれていました。

ハワイ島のマウナケア山は、熱帯に位置しながらも冬季に雪が積もる特異な場所です。

しかし、通常は春にはすぐ雪が消えてしまうため、これまで赤雪現象が確認されたことはありませんでした。

ところが2023年には、気象現象「ラニーニャ」の影響で異常な寒さと大雪が重なり、例年になく7月末まで雪が残る事態に。

そのおかげで、日本や海外の研究者チームは「ハワイの赤雪」という前代未聞の発見に至ったのです。

なぜ、このような南国の孤立した島で赤雪現象が起きたのでしょうか?

それを解き明かすカギは、雪氷藻類の“ルーツ”と“進化の旅路”にありました。

次ページなぜ「赤い雪」は現れたのか?

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