砂糖ゼロで「腸内細菌の乱れ」が起きる?
チームが注目したのが、腸内マイクロバイオームです。
腸内マイクロバイオームとは、私たちの腸内にすむ膨大な細菌や微生物の集まりを指します。
これらの微生物は、食べ物の分解だけでなく、免疫、炎症、血糖調節にも関わっていると考えられています。
解析の結果、砂糖ゼロの低脂肪食を食べたマウスでは、腸内細菌のバランスが大きく変化していました。
特に、腸の健康を支え、炎症の調節にも関わるとされる有益な細菌が減っていました。
一方で、炎症やストレス状態と関連する細菌は増加していました。
この腸内細菌の変化に伴い、砂糖ゼロ群のマウスでは結腸に炎症の兆候が確認されました。
腸の組織構造が乱れ、粘液を分泌する杯細胞が減り、免疫細胞の浸潤や炎症関連分子の増加も見られました。
さらに影響は腸だけにとどまりませんでした。
砂糖ゼロ群のマウスでは、肝臓に脂肪がたまる脂肪肝の兆候や、肝臓の炎症も確認されました。
この結果から研究者たちは、低脂肪食からスクロースを完全に取り除くことが、腸内細菌叢を乱し、代謝の恒常性を損ない、腸や肝臓の炎症を促進する可能性があると考えています。
ただし、この研究を「砂糖は健康に良い」と読むのは誤りです。
過剰な添加糖の摂取が健康に悪いことは、これまで多くの研究で示されています。
今回のポイントは、「砂糖を減らすこと」と「特定の食事条件でスクロースを完全にゼロにすること」は同じではない、という点にあります。
また、この研究はマウスを対象とした小規模な実験であり、各群は6匹ずつです。
そのため、人間でも同じことが起こるかどうかは、今後の研究で確かめる必要があります。
それでも今回の結果は、食事の健康効果を単純に「悪い成分を完全に抜けばよい」と考える危うさを示しています。
栄養は、ひとつの成分だけで決まるものではありません。
砂糖、脂質、食物繊維、タンパク質、腸内細菌、免疫反応が複雑に関わり合いながら、体の状態を形づくっているのです。
健康のために砂糖を控えることは大切です。
しかし、「今日から砂糖は一切摂らない」とストイックになりすぎず、多少は自分に甘くしてもいいのかもしれません。



























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