奇跡的に回収された「サメ目線」の映像
しかし、この貴重な映像は研究者の手に届かないまま失われる寸前でもありました。
本来であれば、コモリザメから外れたカメラタグは海面に浮上し、自分の位置を知らせる信号を送ります。
ところが今回、予定された時間になってもタグから位置情報が届きませんでした。
カジウラ氏は、その時点でタグを回収できる可能性はかなり低いと考えていたといいます。
ところが4日後、突然タグから信号が送られてきました。
位置を確認すると、タグはデルレイビーチにあるガルフストリーム・ゴルフクラブ付近の海岸へ漂着していました。
研究者が現場を探したところ、カメラタグは海藻の中から無事に発見されました。
さらに驚くべきことに、そのわずか数センチ先には大型のビーチ用トラクターが通ったばかりのタイヤ痕が残されていました。
あと少し場所がずれていれば、タグは踏みつぶされ、映像そのものが失われていた可能性があります。
無事に回収されたカメラを研究室に持ち帰り、チームがパソコンを囲んで映像を確認していると、そこにホオジロザメが姿を現しました。
同チームのジェネビーブ・シルベスター(Genevieve Sylvester)氏は、ホオジロザメが一度だけでなく何度も映像に現れるのを見て、チーム全員が信じられない思いだったと振り返っています。
しかも今回の映像は、ダイバーや船から撮影したものではありません。
同じ海を泳ぐ別のサメの背中から見た「サメ自身の視点」に近い映像だったことが、この記録をさらに珍しいものにしています。
チームは今後、シュモクザメを含む他種のサメにもカメラタグを取り付け、南フロリダのサメがどのように行動し、他の生物と関わっているのかを調べていく予定です。
今回のホオジロザメは、研究者が狙って撮影したものではなく、偶然カメラの前に現れた「飛び入り出演者」でした。
しかし、人間ではなくサメそのものを撮影者にすることで、これまで見ることのできなかった海中世界が記録される可能性があります。


































